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2009年11月11日

2009-11 特集/衆院選惨敗――創価・公明反転攻勢の問題点

池田夫妻の受賞が止まらない
「名誉教授」称号の軽さ

ジャーナリスト 段 勲

 規定が厳しい日本の大学からは受けられない

 衆院選敗北のダメージを払拭するために、池田夫妻の宣揚が続いている。
 創価学会のホームページによると、これまで池田大作名誉会長が世界各国の大学から受賞した「名誉教授」の称号は、266(09年10月31日現在)を数える。
 中には、ブラジルのシルバ・エ・ソウザ総合大学から授与(09年9月28日)されたという「名誉建築学・都市工学博士」もある。
 池田氏がこれまで、建築学や都市工学に関する研究の成果や、またはそれに類する学術論文を発表したという話は聞いたことがない。せいぜい池田氏が関係した主な建築といえば、1972年10月、池田氏が建設委員長を務め、会員から集めた建立資金、350億円を投じて完成させた「宗教建築・正本堂」(静岡県富士宮市)がある程度。当時、1000年は保つと豪語していた正本堂であったが、わずか20年そこいらで瓦礫の山になった。同大学は、池田氏のどのような建築学や都市工学の功績で、博士称号の授与に該当したのか。
 池田氏に限ることなく、香峯子夫人も各国の大学から名誉教授の称号が授与されるようになった。
 香峯子夫人への名誉教授称号の授与は、1999年1月、アルゼンチンのフリーレス大学から「心理・社会学部名誉教授」の授与を皮切りに、これまで世界の各大学から14個の名誉教授号が授与されている。
 夫婦揃って、日本人には類例のない大変な「名誉教授」号の数だが、いったい、「名誉教授」とは何なのか。池田夫妻とも、創価大学を除けば、日本の大学からこの種の名誉称号を授与された例はない。すべて海外の大学からである。
 もっとも、日本の各大学にも「名誉教授」の称号があり、各大学には「名誉教授」が何人か存在している。通常、大学が贈る「名誉教授」の称号は、講師、准教授、教授を経験した学識者で、人生をかけ、一つの学問を全うしたような少数の人物だ。それだけに、名誉教授の称号は重い。当然、各大学にはそれぞれの授与規定が明記され、例えば、日本の最高学府といわれる東京大学の「東京大学名誉教授称号授与規則」はこうである。「総長又は教授として在職した者で、本学における功労が特に著しく、かつ、学術上、又は教育上の功績が卓越した者」が、名誉教授称号の対象者だ。
 ほか同大学教授の地位を持ち、「ノーベル賞、文化勲章、日本学士院賞」受賞者等も候補者になるが、授与に至るには同大学にある「教育研究評議会」の議決を経なければならないと定められている。
 東大農学部のOBで、愛媛大学の助教授(現・准教授)や公明党参議院議員2期の経歴を持つ福本潤一氏は、創価学会の幹部から、「池田大作先生に東大名誉教授の称号を与えられないか」と、相談があったことを吐露したことある。「無理です」と、返答したというが、名誉教授称号の授与規定は東大に限らない。
 九州大学の名誉教授称号規則には、「教授として15年以上在籍し、特に功労があった者」。東京学芸大学の「名誉教授称号授与規程」には、「教授として通算20年以上勤務した者」で「教育上又は学術上特に功績があったもの」。教授会が推薦し、「教育研究評議会で4分の3以上の賛成」が必須の条件とされている。
 他の大学も「名誉教授」の授与には、厳しい規則が備わっており、最終的には学長が任命するという実に重たい学問分野の最高位だ。池田氏がいかに偉大で、大学OBが授与に奔走しても、日本の大学が定めている「名誉教授」称号の授与には該当しそうにない。
 他方、池田氏が頻繁に授与されている、とくに中国など外国の大学には日本のように、こうした「名誉教授」称号贈呈の規定はないのだろうか。
 おそらく、規定があったとしても、授与は実に甘いのかもしれない。一例をあげてみよう。

 言論出版妨害事件の張本人が「言論人の模範」?

 日本の小さな新宗教団体の教祖さまと名刺を交換したときのこと。名刺の肩書きに、「中国」にある幾つかの大学から、名誉教授の称号が授与されたと印刷されていた。池田大作氏が名誉教授を授与された同じ大学名もあった。なぜ、中国の大学は、学問の最高位とされる名誉教授の称号を授与したのか。くだんの教祖は知人の紹介で、大学に2、3度表敬訪問をした。その際、日本から連れていった通訳を介して、日中友好の大切さを語り合いながら、学長に何冊かの自著や日本の土産物等をプレゼントしたという。ただし、この「等」の中身は分からない。中国語が話せるわけでないし、英語だっておぼつかない。まして学術論文の提出や、学生相手に講義をした経験も皆無だったが、名誉教授の称号が贈られた。海外の大学が外国人に授与する名誉教授の称号とは、こんなにも軽いものなのか。
 池田大作氏はかつて、日本は「妬みの民族」というニュアンスの表現を用いたことがあった。
 果たして、日本の民族はそうなのかどうか。妬みと、言われることを承知で、例えばこの1カ月ぐらいの池田夫妻の「名誉」称号の授与を拝見してみると――。
 9月6日付の「聖教新聞」1面に、「世界観光都市 アメリカ ラスベガスが、池田SGI会長夫妻に『市の鍵』」、「8月24日池田会長の入信記念日を『SGIの日』と宣言」、「宣言書 文明間対話に献身の62年」と紹介されていた。人口、約25万人の国際都市・ラスベガスには、筆者も何度か訪ねているが、カジノ・ホテルが乱立し、24時間ネオンが消えない一大ギャンブル都市である。同市の市長が池田夫妻に「市の鍵」を贈り、入信記念日を「SGIの日」と宣言したという。
 世界に20億人ほどの信者を有するローマ法王に、入信記念日があるかどうか分からない。だが、世界的に知られるローマ法王にどこかの市が、「市の鍵」や「入信記念日」を祝賀するならまだ少しは納得できる。
 でも、日本を中心に公称、800万世帯という新宗教団体のトップ、池田SGI会長の入信記念日が、ラスベガスでなぜ祝賀されるのか。そもそも同市の市長は、池田氏の誕生日ならまだしも、入信日までご存知なのだろうか。妬みではなく素朴な疑問である。
 10月12日、中国天津市文化広播影視局から「会長夫妻の像」。10月18日、イタリアの文化団体「フリーランス・インターナショナル・プレス」が、池田香峯子夫人に「2009年イタリア人権賞」を贈っている。
 同団体は会員数、約400人で、フリージャーナリストを支援する目的で、1995年に設立された団体だ。なぜ香峯子夫人がそのような団体から、「イタリア人権賞」を授与されたのか。記事を追っていくと、授与の理由がこうなっていた。
 「世界平和に尽くすSGIの諸活動に献身し、夫である池田SGI会長を支えることを通じ192カ国、地域に日蓮大聖人の仏法を広めました」
 イタリア人グループが、主人と一緒に特定教団を布教する夫人に対し、「人権賞」を授与する結びつきを、どのように考えたらいいのだろう。少し「人権」の意味からかけ離れているのではないか。
 さらに「聖教新聞」をめくっているうちに、目が点になるような見出しがあった。10月22日付の4面「座談会創立80周年へ (12)新時代を勝ち開け」のタイトルが付き、原田稔会長ら最高幹部の出席による紙面座談会に躍っていた見出しである。「“池田先生こそ言論人の模範”新聞社社長」と、あったのだ。
 どこの新聞社の社長がこのような発言をと思い、記事を最後まで読んでみた。でも、見出しにあるような発言がない。ただ、座談会記事の中に、福島民報社の花田勗(つとむ)会長の言葉が紹介されていて、
 「池田先生の折々の発言内容は、著書などを通じて広く、伝えられてきました。そこには活字文化を守り、育てることの意義も映し出されています。新聞人としての範とすべし、との思いを新たにしています」
 と、語っていたという。
 創価学会は1970年を前後して、戦後史の言論界に残る「言論出版妨害事件」を起こし、いまだ、同種の事件が起こると、最悪の事例として引き合いに出される。このときの会長は池田大作氏で、事件を起した組織の最高責任者であった。新聞社の社長まで務める言論人が、この事実を知らないわけがない。どこを指して「言論人の模範」と、言えるのだろうか。

段 勲(だん・いさお)フリージャーナリスト。1947年生まれ。週刊誌記者を経て、創価学会・公明党など宗教問題をはじめ社会・世相、医学・健康等をレポート。『私はこうしてがんを克服した』(日本能率協会)『宗教か詐欺か』『創価学会インタナショナルの実像』(共にリム出版)『定ときみ江 「差別の病」を生きる』(九天社)『鍵師の仕事』『高額懸賞金付き!未解決凶悪事件ファイル』(共に小学館文庫)など著書多数。

投稿者 Forum21 : 2009年11月11日 21:23

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