« 信濃町探偵団―創価学会最新動向 2007-11-15 | メイン | 11月15日号 目次 »

2007年12月21日

特集/池田神格化―その醜悪な裏側

勲章・称号で身を飾る池田大作の自語相違

乙骨正生 ジャーナリスト

 詐術的な宗教的権威の創出

 創価学会は例年、池田大作名誉会長の会長就任記念日である5月3日前後と、創立記念日である11月18日前後に池田氏を大々的に顕彰・宣揚する特集記事を、機関紙「聖教新聞」に連載する。池田氏に与えられた勲章や名誉称号の数や会談した政府要人や識者などの数を誇示する特集の狙いは、創価学会の実質的な「教祖」である池田氏と創価学会の宗教的正当性をアピールすることにある。

 周知のように創価学会は、平成3年11月に日蓮正宗から破門された。この破門によって創価学会は、自らの宗教的基盤・宗教的正当性の根拠としてきた日蓮正宗の本尊・教義・信仰を喪失した。やむなく創価学会は、「日蓮直結」を謳い自前の本尊や教義を作成したが、そこには教団の歴史や伝統に基づく権威がない。そのため創価学会は、(1)創価学会の「永遠の指導者」(会則)である池田氏に対する世界各国の諸機関からの勲章や名誉称号などの授与と、(2)法戦と位置づける各種選挙での勝利を、池田氏ならびに創価学会の宗教的権威・正当性の根拠とすることに腐心している。
 そのことは、平成2年5月3日に行われた創価学会の関西記念総会における池田氏の次のような発言からも明らかである。

 「アルゼンチンから五月の大十字勲章をもらったが、これで七つ目である。これが妙法である。信心です。たった五か月の間に三つの勲章(コロンビア・ブラジル)をもらった。この三つは三代(池田氏は3代会長)に通じる。(会長就任)三十周年に通じるんだ。五か月に世界の勲章を三つももらえる人は、これまで一人もいなかった。議員でもなんでもない私なのにだ」

 もとよりアルゼンチンからもらった勲章が7つ目であることが、妙法や信心である根拠などない。そこにあるのは「南無妙法蓮華経」の題目が7字であるということと、アルゼンチンからもらった勲章が7つ目だったという単なる数字的語呂合わせだけである。3つが3代や30周年に通じるというのも同様だが、この発言は世俗の権威の象徴である勲章を宗教的権威に転化しようとする、池田氏や創価学会の思惑を端的に示している。

 だが創価学会が、自らの宗教的権威・正当化の根拠のひとつとしている選挙の勝利は、「本門の池田門下初陣の法戦」と位置づけた本年7月の参院選に惨敗したことで、大きく揺らいでいる。それだけにもうひとつの宗教的権威・正当性の源泉としている池田氏の権威・カリスマの強化に、創価学会はこれまで以上に躍起となっている。

 例えば創価学会は、昨年、200賞を数えた名誉学術称号は、今年220を超えたと喧伝。「聖教新聞」では、それらの学術称号をはじめ池田氏(最近はカネ夫人も)にさまざまな顕彰が贈られている事実を、連日、一面トップで報道している。そこには10月2日付「聖教新聞」に、アメリカ・ネバダ州の連邦下院議員が、池田氏は「真の人道主義者」だと讃え、顕彰状を贈ったとあるように、池田氏に名誉称号を贈ったさまざま団体や人物は、池田氏を偉大な「平和主義者」「人間主義者」「人道主義者」と賛嘆していると繰り返し報じている。

 こうした名誉称号や顕彰を背景にして、創価学会は池田氏の権威・カリスマを強化し、池田氏を神格化することで、創価学会の宗教的権威・正当性を確立するとともに、カネ夫人への顕彰を積み重ね、カネ夫人を池田氏に準じる宗教的権威者に祭り上げることで、池田氏亡き後のポスト池田大作体制に備えている。
 もっとも世俗の権威で身を飾ることで、宗教的権威を獲得しようとする池田氏ならびに創価学会だが、宗教的権威とは、そうした世俗の権威すなわち仏教が否定する世俗の名聞名利の積み重ねによって獲得されるべきものでないことは、創価学会が宗祖と仰ぐ日蓮聖人の事跡からも明白。本末転倒としかいいようがない。

 嘘に嘘を重ねる池田語録

 まして世俗の権威で身を飾ることに腐心する池田氏が、はたして顕彰されるに値する人物であるのかどうか、さらには「真の人道主義者」だの「偉大な平和主義者」などという大仰な賛辞に値する人物であるかどうかは、大いに疑問。
 その根拠として本稿では、池田氏には数々の自語相違・自家撞着する発言があることを、池田氏自身の発言によって明らかにしたい。皮肉なことにそれらの池田発言は、池田氏が顕彰に価する偉大な人物でないことを自ら証明するものとなっている。まずは政治に関する発言から。

・ 政治編
(1)「政権はいらない」「衆議院には出ない」「大臣もいらない」の虚言
 「わが創価学会は、他宗派のごとく、企業でもなく、ただ、勢力の拡大を目的とするものでもない。また、けして決して政権を考えているものではない」(昭和35年12月号「大白蓮華」)
 「我らは政党ではない。すなわち創価学会は政党ではない。したがって衆議院にコマを進めるものではない」(昭和36年6月号「大白蓮華」)
 「今の政治家は、やれ勲章を貰うとか、金をとるとか、また有名人は利己主義になって、自分の名だけ売って、金儲けをするとか、めちゃくちゃな世界であります。(中略)私ども創価学会員は、位もいらない、名前もいらない、有名でなくともよい、大臣もいらない、また権力もいらない」(昭和38年7月30日・中部第二本部幹部会)

 いまさら論評の必要もないだろう。「創価学会は政党ではない。したがって衆議院にコマを進めるものではない」としていたにもかかわらず、公明党を結党し、政権獲得を目指して衆議院に進出した。さらには「けして決して政権を考えるものではない」とか「大臣もいらない、また権力もいらない」としていたにもかかわらず、平成5年には細川護煕氏を首班とする非自民連立政権に参画。政権発足前々日の8月8日に行われた本部幹部会の席上、「デェジン、デェジン」と大喜びし、「労働大臣、郵政大臣、総務(庁)長官」と、公明党議員が就く閣僚のポストを閣僚名簿の発表に先立って明らかにして悦に入った。
 平成11年にはそれまで「仏敵」扱いしていた自民党と連立を組み、小渕・森・小泉・安倍・福田と5代の政権に参画し、多数の大臣を輩出している。いったいなにが「政権を考えるものではない」「大臣もいらない」なのだろうか。次は金集めについての発言である。

・ 寄付・集金編
(1)「寄付は永久にとらない」の虚言
 「創価学会としては、永久に皆さん方から、ただの一銭も寄付を願ったり、供養を願うような事はありません」(昭和37年6月9日付「聖教新聞」)
 「邪宗などは、みなうまいことをいって金を巻き上げて、教祖のために、それから教団の勢力のために、それも、本当に人々が救えるならば許せるけれども、ぜんぶが地獄に堕ち、民衆は教祖にだまされて、そして、教祖はりっぱな家ばかりつくり、民衆は最後には、コジキみたいになってしまう。これが邪宗教団の姿です。(中略)創価学会としては、永久に皆さん方から、ただの一銭も寄付を願ったり、供養願うようなことはいたしません」(昭和37年6月16日付「聖教新聞」)
 「大成建設さんにお願い申し上げたいことは、この創価学会本部は、だれからも一銭も寄付を受けて建てるものではない。私はこれを第一の誇りとしております。会長室はもっとも質素にしていただきたい」(昭和37年9月4日・本部落成式)
 「いままでの宗教は、ぜんぶ企業であります。法盗人、法を盗んで、そして信者を、どれいのごとく扱い、金もうけ専門であります。だから邪教というのです」(昭和38年8月17日付「聖教新聞」)
 「また大学の建設にも、寄付など一銭も受けませんことをご承知していてください」(昭和41年5月4日付「聖教新聞」)

(2)「大きな建物はつくらない」の虚言
 「この建物は小さいけれども、我々の拠点であります。私どもは喜んで小さな拠点を造っているわけなのです。他の教団等においては、すぐに信者から金をしぼりとって、虚栄のため、商売のため、宗教企業のために大きな殿堂を作ります。私どもの会館建設にあたっては、会員の皆さんの負担とせず、新聞や雑誌の利潤を少しづつでも蓄積して作っていることを知っていただきたいのでございます。創価学会は形式的な大きな建物を、将来も排除していきます」(昭和39年9月15日付「聖教新聞」)
 「学会は大きな戦艦のような建物はつくらないよ」(昭和40年8月号「前進」)

 先日、「駅前留学」でおなじみの語学教室NOVAが経営破綻、会社更生法の適用とともに、解任された同社の猿橋望社長が豪勢な社長室の中に、隠し部屋を設けていたことが保全管理人によって明らかにされた。保全管理人は「会社私物化の証拠であり憤慨に堪えない」と発言したが、公益法人である宗教法人として税法上の優遇措置を受けながら、過去の発言に反して豪華で巨大な建物を建設し、あまつさえその中に豪奢な池田専用施設を設けていることを暴露されている池田氏。池田氏の過去の発言に基づくならば、こうした行為は「金もうけ専門」の「邪教」ということになるのだが。

・ 賞・勲章・名誉称号・宣揚拒否の虚言
 「(EECを提唱したクーデンホーフ・カレルギー伯爵との対談の席上、『ノーベル賞をもらえるでしょう』と激励された際)そのような栄誉は欲しくもありません。また下さるといっても、受けることもありません。そのような人間が世界に一人くらい、いてもよいでしょう」(昭和42年10月13日の対談で)

 いまや世俗の権威の象徴である勲章や名誉称号を自らの宗教的権威の裏づけとする池田氏。創価学会が世界各国の諸機関からの勲章や名誉称号を自慢することは、池田氏の自語相異・虚言・両舌・二枚舌体質を大々的に喧伝していることに他ならない。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

投稿者 Forum21 : 2007年12月21日 01:50

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.forum21.jp/f21/mt-tb.cgi/123

inserted by FC2 system