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2006年10月01日

特集/創価学会「宗教弾圧の政治家は必亡」の妄言を斬る

インタビュー/村上正邦元自民党参議院会長に聞く
およそ宗教者にあるまじき姿

 創価学会が「聖教新聞」などで、かつて創価学会を批判した政治家を「宗教弾圧の政治家」などと呼び、人権も名誉も無視した激しい誹謗中傷・悪罵を投げつけていることは、本誌既報の通り。敵意を剥き出しにして政治家を罵る「聖教新聞」の座談会記事での秋谷会長ら首脳幹部の姿は、言論出版妨害事件を引き起こした創価学会の独善的で排他的な体質を象徴するものであり、創価学会の非人権体質を如実に示している。
 そうした「聖教新聞」の座談会記事で誹謗中傷された政治家には以下のような諸氏がいる。

 〈自民党〉白川勝彦元代議士(元自治相)、自見庄三郎元代議士(元郵政相)、小林興起元代議士、村上正邦元参議院会長(元労相)、田沢智治元参院議員(元法相)、久世公尭元参院議員、下稲葉耕吉元参院議員
 〈民主党〉西村真悟代議士、永田寿康元代議士
 〈社民党〉辻元清美代議士

 こうした人々の中から、国会への池田喚問を推進したことから、「仏罰」を受けたと誹謗されている村上正邦元自民党参議院会長と、言論出版妨害事件を国会で追及した際に池田喚問を要求したため、「敗残」したと罵られている塚本三郎元民社党委員長に話を聞いた。

 ――創価学会が機関紙「聖教新聞」で、創価学会に批判的だった政治家を「宗教弾圧の政治家」だと激しく誹謗し、「必ず滅びる」などと強調しています。そうした政治家として、村上元自民党参議院会長も激しい非難の対象となっており、「聖教新聞」掲載の首脳幹部らによる座談会記事では、複数回にわたって誹謗中傷が加えられています。
 村上 ああ、そうですか。「聖教新聞」を読んだことはありませんので、そうした非難を浴びているとは、ちっとも知りませんでした。

 ――例えば、今年の6月19日付「聖教新聞」掲載の首脳座談会では、秋谷会長をはじめとする最高首脳らが村上元会長のことを次のように誹謗しています。
 「原田(副理事長)それに、また、かつては『参院のドン』と呼ばれた元参院議員の村上正邦(元労相)。あの男も学会について『証人喚問しろ』だの『参考人招致しろ』だのと大騒ぎした。
 竹内(青年部長)村上は、KSD(中小企業経営者福祉事業団)に絡んだ受託収賄の容疑で逮捕、起訴された。
 秋谷(会長)『喚問、喚問』と騒いだ張本人が、犯罪がらみで証人喚問された。まさに『還著於本人』だ。仏罰だ」
 村上 秋谷会長ともあろう方が、このような言葉を私に浴びせているとは露ほども知りませんでした。むしろ秋谷さんは、「村上さんは志半ばで、さぞ無念なことだろう」と考えておられるだろうと、思っていました。私自身は秋谷会長にお目にかかり、現在の心境をお聞き頂きたいと考えていたほどです。
 私は「罪を憎んで、人を憎まず」「人は生まれながらにして神の子、仏の子である」と、教えられてきました。仏罰を与えるような仏様がいるなら、是非ともその仏様にお会いしたいものですね。
 ま、こうした揶揄的といいますか、侮蔑的な非難に耳を貸す気はありせんし、申し訳ないが、論評に価するようなレベルだとも思いません。ただ日本最大の宗教団体の会長を長く続けている人物が、「仏罰だ、ザマーミロ」というような発言をしていることに、正直、驚いています。

 ――村上元会長は、秋谷会長とも会われていますね。
 村上 自民党の参議院会長時代に、公明党の参議院幹部からすすめられてお会いしました。その際、何百万という会員の頂点に立つ秋谷さんの人となりにも触れさせて頂き、私なりに敬意を表しました。もちろん政策の話をしたわけではありません。他の宗教団体の指導者とお会いするのと同様、人間として、またお互い宗教を求道するものとしてお会いしました。その結果、一定の理解を得、信頼関係を構築させていただけたものと思っていただけに、いま、秋谷さんが、こうした発言をしていることを知り、私は悲しい思いをしております。
 秋谷会長にお目にかかった時に、仮に秋谷会長から「池田大作名誉会長の喚問問題について、なぜ喚問しなければならなかったのか」と聞かれれば、私は、国民の関心が高まっていた政教分離問題などについて、積極的に喚問に応じれば、国民の疑問を解明することができると申し上げたはずです。しかし秋谷会長からはそうしたお話はいっさいありませんでした。
 これがなぜ創価学会を糾弾したことになるのですか。しかもどうしていまになっての非難なのでしょうか。私が現在のような立場になったことから、あえて非難しているのでしょう。しかし、私が喚問を受けたのは「仏罰」でも何でもありません。国会議員として責任を果たす必要があると、自ら積極的に喚問を受けると申し入れ、喚問に応じたのです。

 ――宗教法人法の改正が論議された平成7年に、創価学会問題が国会で取り上げられ、自民党は参議院でも厳しく創価学会問題を質しました。当時、村上元会長は自民党参議院の幹事長として国会質問の指揮をとっていたことから、創価学会は村上元会長を、「宗教弾圧の政治家」と位置づけているようですが。
 村上 私は、元来、政治家は宗教心を持って、目に見えないものに対する畏敬の念を持つことが最も大切なことだと考えています。それゆえ私は、宗教者が政治に注文をつけることは結構なことだと思っています。宗教の立場や宗教者の目から見て、平和や人権、環境、教育、福祉などの分野に対して意見を述べることはとても重要であり、大切だと考えます。
 しかし憲法20条に政教分離原則が掲げられているように、政治による宗教への介入とともに、宗教が政治に直接介入してくることもいけないと思っています。宗教団体と政党が一体の関係であってはならない。宗教法人法の改正論議の際には、創価学会・公明党に政教一体の疑惑があったから問題となったのです。
 私は与党の政治家として、さまざまな公明党がらみの政治的場面にも遭遇してきましたが、創価学会と公明党の関係には不透明感が漂っており、率直に言って政教一体ではないかという疑念を抱いたことも一再ではありません。しかし、そうした点についても、私の方から公明党の幹部の方々に、積極的にこうした議論を仕掛けて、心を開いて議論をしていました。
 それを宗教弾圧とはおこがましい。何を以て、弾圧したというのか。私の親しい友人や知人には創価学会員が大勢います。こうした人たちに創価学会批判をして、学会から脱会するよう言ったことなど一度としてありません。

 ――その創価学会・公明党と自民党は連立を組んでいます。
 村上 自民党も新総裁になりましたが、いま政治は国内的にも国際的にも大きな岐路に立たされています。そうした難しい政治状況のもとでは、きちんとした国家理念や社会の在り方を提示する必要があります。その際に、自・公連立でいいのか、はたして自・公連立が成り立つのかと言う問題があります。
 自民党は自主憲法制定を党是としてきました。また教育基本法の改正問題もある。しかし、創価学会の池田名誉会長は教育基本法の改正に反対しています。そうした基本的立場の相違を埋められるのか、ということです。
 教育基本法に関して言えば、まず「連立ありき」で、両党の顔を立て、愛国心に関して深い議論をすることなしに、意味不明の改正案を作ってしまいました。これでは後世の人たちの嗤いものになりますよ。国の在り方や国の本質が政治の課題になった時に、安易な妥協は自民党も公明党もすべきではないでしょう。

 ――しかしいまや自民党の多くの国会議員が創価学会票をもらって当選しており、創価学会に対しては、何も言えないという状況が生まれている。自・公連立政権発足当初、公明党は、政権にどこまでもついて行く「下駄の雪」と評されましたが、いまや創価学会票を武器にして自民党の「下駄の鼻緒」を引きずり回している。これでいいのかということです。
 村上 たしかに議員心理としては票が欲しい。だから難しいとは思います。しかし自民党も譲れない一線はきちんと主張すべきです。国家の基本理念ついて妥協はありえません。銭金の問題ならば足して二で割ればいいでしょうが、基本理念はそうはいかない。その意味では、打算に走るのではなく、お互い、自らの信じるところを、堂々とぶつけあうべきだと思います。
 裏舞台で一部の人が取り引きするのではなく、党と党であるかぎり表舞台で堂々と議論すべきです。創価学会幹部が公明党の人事について介入しているとの報道もありますが、そうしたことから、政教一体ではないかとの疑惑が生まれてくるのです。

 ――創価学会・公明党は、現実政治においては、イラクへの自衛隊派遣問題に見られるように、妥協に妥協を重ねていますが、村上元会長らへの誹謗中傷が象徴するように、「聖教新聞」では本音を露骨に現しています。
 村上 宗教は絶対の世界、これに対して政治は相対の世界です。よって立つ位置が違います。宗教的なカテゴリーをそのまま政治の世界にナマに持ち込めば軋轢が生まれるだけですよ。宗教政党が生々しい権力闘争に関わってはいけないと思います。政権与党とは国家権力と一体のものです。
 私は公明党の方々に申し上げたい。公明党は参議院だけにすれば、純度が高まり、かえって影響力は強くなるはずです。そもそも参議院は、国民の立場に立って権力をチェックする立場です。国家権力を背景にすると宗教政党は必ず腐敗します。歴史を振り返れば、一目瞭然です。政界浄化を掲げて政界に進出した創価学会・戸田城聖会長は、参議院と地方議会だけと言っていたのですから。初心に立ち戻って人権や福祉や環境問題などに特化されてはどうですか。
 秋谷会長から「弾圧された」「仏罰だ」などの言葉が出ていますが、織田信長と比叡山のことを思い起こして頂きたい。信長は比叡山を焼き討ちにして、数千人の僧侶や婦女子を殺害しました。しかし、現在、比叡山は、信長の焼き討ちは、道を踏み外していた比叡山を立て直す契機になったとして、焼き討ちのあった9月12日に信長の法要を営んでいます。
 ここに、私は宗教者の本来の姿を見ます。
 人はそれぞれ、山あり谷ありの長い旅路を歩んで行きますが、不幸にして志半ばで挫折する人々もいます。そうした人々に対して、「仏罰だ」などと非難、罵倒するようなことは、本来の宗教者にあるまじき姿だと思いますね。(取材・構成/乙骨正生)

村上 正邦(むらかみ まさくに)1932年福岡県生まれ。1956年拓殖大学政経学部卒業後、東洋紡を経て、生長の家本部、玉置和郎参議院議員秘書を経て、80年に参議院議員に初当選。以後4期当選。92年労働大臣、95年自民党参議院幹事長。99年派閥会長の職を退いて自民党参議院議員会長に就任し、「参議院の天皇」との異名をとるまでの影響力を発揮する。2001年KSD事件で受託収賄の容疑で逮捕。東京地裁に続き、05年12月東京高裁でも懲役2年2ヶ月、追徴金約7280万円の実刑判決を受け係争中。

投稿者 Forum21 : 2006年10月01日 00:40

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