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2006年04月01日

特集/池田博正副理事長昇格の意味と創価学会・公明党人事

「永久・絶対」が虚しい副理事長昇格乙骨正生 ジャーナリスト

 事実に反する“虚言”

 「央 将来の学会の後継者に息子さんをするという週刊誌の記事を読んだことがあります。私は学会は世襲制はしないと以前から聞いていましたが、一体どうなんでしょう。
 池田 学会は永久に世襲制はとりません。これは初代、二代、そして三代の私を含めた不文律のようなものになっている。私から北条第四代会長へもそうでした。いわんや会則のもとでは絶対にありえないことです。念のために申し上げれば、長男は高等学校の教員、次男は大学の職員です。三男坊はまだ大学生です。いずれにせよ、まったく論拠のない推測記事でしょう」

 これは昭和55年4月に発行された朝日新聞の元創価学会・池田番の担当記者だった央(なかば)忠邦氏が執筆した『池田大作の軌跡――1』に掲載された「池田名誉会長に聞く」と題するインタビュー中のやり取りである。
 創価学会の後継問題について問われた池田氏は、言下に「世襲制」を否定。それも「永久」かつ「絶対」にありえないとした上で、「念のため」と称して長男・次男・三男がいずれも創価学会の要職にないことをアピールしている。
 この発言を額面通り受け取るならば、創価学会に「世襲」はなく、池田氏の子息が後継者になることはないということになる。
 だがこの池田インタビューには、以下のようなやりとりがあり、池田発言が額面通り受け取れないことを自ら証明してしまっている。

 「央 ところで、よく、竹入公明党委員長との不仲説がいわれておりますが、本当ですか。
 池田 まったく心外です。ご存知のように、流言飛語は、しょっちゅうあります。いまのように複雑な時代になればなるほど、分断を策する動きが働くのは当然のことでしょう。私は、何をいわれても意に介しませんが、そのような事実はまったくございません。誰かがいっておりましたが、あまり仲が良いと政教一致といわれるので、不仲のように見せかけた方が政教分離と(笑)……。気をきかしているのがいるんではないですかと(笑)……。まったく根拠のない話です。どうか、竹入さんにも聞いてみてください」

 竹入氏を「犬畜生に劣る不知恩の輩」だとして、連日のように激しい誹謗中傷を繰り返している今日から見れば、池田発言がいかに“虚偽”に満ちた、その場しのぎのものであったかは明らかである。そのことは、今日では不倶戴天の関係にある日蓮正宗との関係についても、池田氏が次のように語っていることからも裏付けられる。

 「央 将来、学会が、日蓮正宗から独立するというウワサは本当ですか。
 池田 まったくありません。一時、感情的にトラブルはありましたが、それは感情次元であって、学会の根本方針ではありません」。(中略)
 私どもは、どこまでも御法主上人猊下の御指南どおり、実践してまいりたいと決意しております。日蓮正宗の根本規範は、あくまでも御法主です」

 こうした池田発言と現実との乖離・齟齬、というよりも、ここでの池田発言と現実が正反対になっている事実に鑑みるならば、創価学会の後継者は子息に間違いはなく、世襲は確実ということになろう。

 50代唯一の副理事長に就任

 3月9日に行われた本部幹部会の席上、池田大作氏の長男である池田博正氏が副理事長に昇格したことは、その表れであることは間違いない。今回、池田博正氏は聖教新聞代表理事の原田光治副会長、池田大作氏の秘書業務を担当する第一庶務のトップである長谷川重夫副会長とともに副理事長に昇格したが、この原田、長谷川両氏をはじめ、すでに副理事長職にある山崎尚見、原田稔、西口良三氏をはじめとする各副理事長は、いずれも60代以上、50代の副理事長は池田博正氏一人である。
 ましてやこの人事の直前、池田博正氏は創価学会代表団の代表として台湾を訪問し、中国文化大学の名誉博士号を受けるや、その足で創価大学代表団の一員として中国を訪問し、北京で唐家セン国務委員(前外相)に、池田大作氏の伝言を伝えるという“重責”を果たしている。

 昨今、台湾と中国との関係は、中国が国家分裂法を制定し、台湾が独立を選択した場合、武力行使も辞さないとの姿勢を示し、軍事的圧力を強めていることから、極めて悪化しており、台湾海峡をはさんで両者は強い緊張関係にある。
 そうしたさなかに台湾を訪問した足で中国に赴き、政府要人との会見をアピールすることの意図が那辺にあるかは明らかだろう。

 また1月26日以後、創価学会は「聖教新聞」の創刊55周年パーティを東京、大阪、名古屋、札幌、仙台などで開催しているが、これに池田博正氏が、学会本部を代表するような立場で出席している。
 「聖教新聞」報道によれば、このパーティには、財界の一流どころが、雲霞のように出席しているという。当然、池田博正氏はそれらの一流どころに相次いで紹介されていることだろう。
 その意味では、コント55号でもあるまいし、創立55周年という奇妙な年次に「聖教新聞」の創刊記念パーティを開催した狙いは、池田博正氏を各界の人々に対し紹介するお披露目パーティの色彩をもっていたと見ることも可能だ。

 いずれにせよ、今回の副理事長への昇格人事ならびに名誉博士号の授与や唐国務委員との会見など一連の動きで、その役職名がいかなるものになるかはともかくとして、池田博正氏が後継者であることが、あらためて明白になったといえるだろう。
 今後、ポスト池田大作体制が構築されるなかで、創価学会の人事がどのようなものとなるかが注目されるが、会長や理事長の交代の要因として、あるいは本誌の特報で報じられている名誉毀損での不法行為責任の認定が影響する可能性もある。
 同時に、実質、創価学会政治部である公明党の人事ならびに体制がどうなっていくのかにも、社会的な関心が集まるだろう。3月初旬に、神崎・冬柴体制が、今秋で終わりとの報道がなされたが、それが創価学会のポスト池田大作体制人事と連動している可能性も否定できない。神崎代表、冬柴幹事長の後任として取りざたされている太田昭宏幹事長代行は、創価学会の男子部長・青年部長を歴任したいわゆる創価学会の本流に位置する人物。そして北側一雄国土交通大臣は、創価高校・創価大学出身の文字通りの池田門下生である。
 池田博正氏の副理事長昇格によって、今後、本格化するであろうポスト池田大作体制の構築にあたって、創価学会と公明党の人事ならびに体制がどのようになっていくのか、その帰趨がこれまで以上に注目される。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

投稿者 Forum21 : 2006年04月01日 17:58

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