インターネットでみる創価学会批判情報 9/1号
松本 一(ジャーナリスト)  

 インターネットの検索エンジンで、創価学会をキーワードで検索すると、三万二〇〇件ものホームページに行き当たる。(Googleで八月十日現在)これは、創価学会というキーワードが含まれているホームぺージの数であるから、必ずしも創価学会について書かれたホームページというわけではないが、創価学会問題が数多くのネットワーカーたちから高い関心をもたれていることをうかがわせる。
 三万二〇〇件もあるホームページを全部見ることは物理的に不可能なことだが、それでも順番にめくっていくと、ある傾向を見いだすことができる。やはり圧倒的に多いのは、創価学会本部や各レベルの団体や、外郭団体が作っているホームページである。これは、創価学会の宣伝や学会員の連絡、情報交換のために作られているホームページで、学会の宣伝用といってもいい。聖教新聞や公明新聞に載らない細かい情報が掲載されていて、これはこれで貴重な情報源であるが、なにしろ数が多いので目的とする情報に行き当たるまでが大変だ。
 圧倒的に多い創価学会プロバガンダホームページの他に、ごく少数ながらも、創価学会批判、池田大作批判をテーマにしているホームページもある。これらのホームページは、創価学会を批判したり、創価学会問題について考えようという人に、貴重な情報を提供してくれるありがたい存在である。  創価学会は、『聖教新聞』『創価新報』『大白蓮華』『グラフSGI』などの機関紙誌、『潮』『第三文明』といった雑誌メディアを持ち大きな影響力を行使している。また、テレビや新聞といったマスメディアにも、学会への批判を許さない力をもっており、マスコミで創価学会を批判するのは、一部の週刊誌や月刊誌に限られている。そうした中にあって、創価学会批判をテーマにしたホームページの存在は、重要な役割を果たしている。
 インターネットのホームページは、場合によっては何百万人もの視聴者を得ることがある。テレビや新聞にはできない影響力をもつこともあることは、過去のいろいろな例が実証しているところである。創価学会批判のホームページは、今はまだ小さく、少数の支持者しか得られていないが、状況によっては大きな力を秘めた可能性のあるメディアである。
 これらのホームページにアクセスして、創価学会問題について考える人が増えれば、創価学会を取り巻く状況もまた大きく変化するに違いない。インターネットという新しいメディアを通じた創価学会批判の展開に、新たな可能性を期待したい。 しかし、創価学会批判をテーマにしたホームページを探すのは、これはこれで難しい。創価学会だけをキーワードにして検索するだけで、三万二〇〇件もホームページがあるのだから、その中から創価学会批判をテーマにしたホームページを見つけるのは至難の技である。 しかも、創価学会批判のホームページといっても、玉石混淆である。創価学会批判を展開する団体から、個人が運営しているホームぺージまで、主催者もさまざまで、いろいろなレベルのホームページが存在する。なかには、無責任なデマめいた情報を掲載しているホームページもある。だから、創価学会批判のホームページを参考にするには、情報への確かな目利きが必要なのである。
 ここでは、創価学会批判について、数あるホームページの中から確かな情報を掲載している代表的なホームページを紹介してみよう。これからインターネットを活用して、創価学会情報を集めようという人に、参考になるようなページをいくつか紹介する。ここから始めて、さらに広く深く情報を集めることができるようになるはずである。
 まず、最初に紹介したいのが、「創価学会による被害者の会」が主催する「自由の砦」(http://www.toride.org/)である。「創価学会による被害者の会」は、創価学会による反社会的活動や人権侵害行為によって、被害を受けてきた人々が、創価学会の恐ろしい実態を世間に訴え、同じく創価学会の被害に苦しんでいる人々を救済しようとの趣旨によって結成された団体で、その「創価学会による被害者の会」のホームページが「自由の砦」である。
 しっかりした団体が主催するホームページであるだけに、その情報は多岐に渡って充実している。「小泉連立政権の一年を総括する」、「宗男騒動で露呈!公明党の正体」といった時事的な問題意識のあふれる論文から、浅見定雄氏や俵孝太郎氏による基本的な問題意識に基づいた論文まで、多様な側面から分析した資料が網羅されている。  ホームページの中身は、国際世論、政教分離、選挙、裁判、学会事件簿、総括、生音声・スライド、書籍、脱会方法、創価学会の政権参加はこんなに危険、池田大作、元創価学会最高幹部の証言、女性人権侵害、金銭問題、被害レポート、学会男子部の実態、の各カテゴリーに分かれ、詳細な情報を提供している。  過去の重大事件の資料から、最新の動向までを網羅し、まず初心者が第一番にアクセスすべきホームページである。更新も頻繁だから、最新の情報を得るためにはこまめにアクセスするといい。英語版も用意されているところは、この会の決意を表している。国際的な広がりをもって、池田創価学会を追い詰めていこうとのスタンスが見られるのだ。 このホームページにはリンクが用意されており、ここから他の創価学会批判のホームページにリンクすることもできるように配慮されているのもうれしい。八月十二日現在で、五四万八〇六七人の人がこのホームページにアクセスしている。この数字を多いと見るか少ないと見るか、人によって立場は違うだろうが、この数字が一〇〇万を越える時、何かの変化が兆してくるかもしれない。
 東村山市は、故朝木明代議員の疑惑の死で揺れた街である。(詳しくは、本誌の発行人・乙骨正生著『怪死――東村山女性市議転落死事件』教育史料出版会刊、を参照のこと)その東村山市で、朝木市議の遺志を継ぎ創価学会問題を追求しているのが、矢野穂積市議である。その矢野市議が主催するホームページが、「創価学会問題新聞」(http://www.sokamondai.to/)である。朝木市議の死の疑惑や、創価学会系雑誌「潮」を訴えた名誉棄損の裁判の経過を報告した、「東村山市民新聞」の最新号からバックナンバーが読める他、創価学会の会則変更の資料なども掲載しており、地方からの情報発信にしては、充実している。掲示板も開設し、リンクもあり、東村山に限らず、創価学会を批判する人が情報交換できるように、ホームページが構成されている。
 創価学会と公明党の政教分離の問題を一貫して追求している白川勝彦元代議士のホームページ(http://www.liberal-shirakawa.net/)も、重要な創価学会批判のページである。このホームページの政教分離の項目には、白川氏の自公連立批判を始めとする一連の論文や資料が納められ、連立批判については一度読んでみるべき論文や資料が多い。
 創価学会問題を考える際に、日蓮正宗の総本山である大石寺のホームページ(http://www.nichirenshoshu.or.jp/)は見逃せない。大石寺のホームページ自体は、創価学会批判を目的としたものではなく、教義の解説や流布が中心となっているが、中に創価学会との関連を解説したページがあったり、クロウ事件の裁判の結果を報告しているページもある。こうした情報は、その時々に掲載されるから、普段からウォッチングしておくことは必要だ。
 中でも、「創価学会との関連について」(と題したホームページは(http://www.nichirenshoshu.or.jp/jap/basics/sgi.html)、宗門と創価学会との「創価学会関係略年表(破門に至るまで)」という年表が掲載されており、宗門と創価学会の関係が一目でわかるようになっている。また、このホームページでは、一九九一年十一月七日付の「解散勧告書」、一九九一年十一月二十八日付の破門通告書をダウンロードできるようになっているのも、今では貴重な資料である。
 個人が主催しているホームページでは、「創価学会駆込寺」(http://www.medianetjapan.com/10/meetiong/saka/)がユニークな内容だ。学会二世として生まれ、学生時代は時間のほとんどを学会活動に捧げ、組織活動についてはあらゆることを経験し、通常の会員のしない特殊な活動もやったという元学会員が主催している。  この人のプロフィールは札幌市在住の三十代男、ハンドルネームがチョンガーというだけしかわからないが、学会組織のあまりの理不尽さに嫌気をさし、長野のスキーロッジに失踪し、自分と信仰との関係を一から考え直したという。現在は、創価学会を退会し、どこの教団にも所属せず、単独で日蓮仏法を信仰しているという。
 このホームページには、三つの原則があり、一つは、創価学会員を退会させることが目的ではなく、このホームページを訪ねる学会員が組織に煩わされず、安心した生活を送れるようになることが目的である。二つ目は、創価学会をバッシングする目的で作られたものではなく、あくまでも学会員個人の精神的解放を目的としている。そして、三つ目は、特定教派の理念に固執するものではないが、日蓮仏法の一往の価値を認めた上で、それぞれの議論がなされているというものである。
 掲示板やメーリングリストも作られており、悩める学会員の文字通りの「駆込寺」として機能している。創価学会や池田大作を正面から批判するホームページも重要であるが、学会員が悩みや疑問を抱いた時に、受け皿になってくれるようなこうしたホームページも貴重な存在である。 個人がやっているホームページとしては、正信会の一信徒が主催している「nbのページ」(http://nakanihon.net/nb/ 1.html)がある。このホームページは資料室に力がこもっている。継命新聞の過去の重要記事も掲載されており、正信会の情報や資料を得るには、恰好のホームページである。  創価学会問題関連のリンク集は、この問題をテーマにしたホームページを探すには、有効な道しるべとなる。個人が作っているリンク集もいくつかあるが、質、量ともに心もとない。その中で役に立つのは、「富士山本門寺の実現を願う、富士門流信徒のネットワーク」(略称:富士門ネット)が主催する「日蓮正宗関連HPリンク集」(http://www.medianetjapan.com/10/meeting/soka/)である。  このリンク集は、創価学会批判を目的としたものではなく、富士門流全体に関わる情報のネットワークを充実しようとの趣旨に基づいて作られたもので、日蓮正宗関連のホームページを網羅したリンク集となっている。  日蓮正宗、顕正会、正信会、創価学会、法華講、本門正宗、富士門関連掲示板、富士門全般、一般仏教、文献・資料といったカテゴリーに分類されて、それぞれに関連のあるホームページにリンクできるようになっている。
 リンクの範囲が広く、更新も頻繁に行われており、創価学会に限らず、日蓮正宗を考える際には、非常に便利なリンク集となっている。  マスコミなどでよく話題になっている「2チャンネル」にも「創価・公明」の掲示板がある。(http://choco.2ch.net/koumei)「2チャンネル」は、掲示板に書き込んだ人の匿名性を保証した、書き手の名前や属性がわからないことを特徴にしたホームページであるから、その内容の真偽には責任を持てない。掲示板に書かれた情報も、玉石混淆というよりは、書き手の勝手な感想や思い込みが多い。興味があって楽しめる人もいるかもしれないが、情報収集という点では、眉につばをつけて閲覧した方が良いだろう。
 最後になったが、本誌『FORUM21』でもホームページを開設している。(http://www.forum21.jp/)サイト名も同じ『FORUM21』という名前で、本誌を要約した情報が得られる。最新号の紹介や、過去のバックナンバーの目次、連載記事など他のホームページと比較しても、貴重な情報が詰まっているホームページだ。本誌の講読の申し込みもこのホームページから出来るから、まだ知らない人にはぜひ伝えてほしい。
 ここで、紹介した創価学会関係のホームページは、まだまだ全体のごく一部である。ここで、紹介したホームページをとっかかりに、読者自身で探せばまだまだいろいろな情報を集めることができるだろう。民主主義の根幹をなすものは、自由で開かれた言論である。インターネットがそのために貢献できる役割は大きい。誰でも、どこからでも情報を発信できて、しかも世界中の何千万人、何億人も見ることができるメディアは、インターネットをおいて他にはない。
 創価学会批判の情報もインターネットを通じて、世界に発信されれば、状況を変える大きな力となるだろう。そのためのささやかな第一歩として、この原稿を書いた次第である。恐怖が正面からとりあげられたことも特に記しておきたい。

 

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