« 2009-1 信濃町探偵団―創価学会最新動向 | メイン | 2009-1 目次 »

2009年01月07日

2009-1 特集/創価学会・公明党の[09年]を占う

消費期限切れの創価学会・公明党 立ち往生から立ち腐れへ 

ジャーナリスト 溝口 敦

「政権から離れる」の悪夢が現実に

 創価学会・公明党は進むも退くもできない泥濘にはまり、立ち往生からいきなり立ち腐れの危機に倒れ込もうとしている。創価学会・公明党の政治的もくろみはことごとく外れ、ついに自公連立はご破算、単なる弱小野党として裸で寒空の下、放り出される公算が強くなってきた。名誉会長・池田大作が何より恐れていた「時の政権から離れる」という悪夢がいよいよ現実になりそうである。
 創価学会・公明党にとってのぎりぎりの生命線は今夏の都議選勝利である。創価学会が本丸を置く東京で勝たないことには、警視庁や検察庁に睨みが利かず、学会がらみ事件の立件など、いつ嫌がらせを受けるか知れたものでないからだ。勝つために全国の学会員を東京に投入、顔とコネでF票取りに動かすから、都議選の前後数カ月は衆院選どころではない。
 そのため公明党は昨年、麻生首相に早期解散を強く求め、年内総選挙の体勢を組んだが、麻生内閣はあまりの不人気に解散できず、政権にしがみついて今に至った。各メディアの世論調査で麻生支持率は軒並み20%台にまで低下し、政権の片棒を担いできた公明党にも強い逆風が吹きつけている。おまけに公明党が選挙の目玉にしようとした「定額給付金」も底が割れて、国民の7割が支持しない愚策に終わっている。
 その上に麻生首相は3年後の消費税増税を打ち出し、公明党は選挙に不利だからと期限をぼかすよう注文をつけたが、両党のやりとりはその都度報道されて、かえって公明党の欺瞞体質を浮き彫りにした。公明党は生活を守りもしないし、福祉の党であるはずもなく、庶民の生活に敵対する党であることが誰の目にもハッキリしてきたのだ。
 地を這うような不人気は麻生ばかりではなく、公明党も同じである。総選挙がいつあろうと、当選者が激減することはすでに約束ごとといっていい。投票率が上がれば、小選挙区全滅という事態もあり得る。自民党の調査では公明党代表・太田昭宏の東京12区、元国土交通相・冬柴鐵三の兵庫8区、幹事長・北側一雄の大阪16区で民主党票のリードを許しているという。田端正広の大阪3区、谷口隆義の大阪5区、福島豊の大阪6区などもぎりぎりのつばぜり合いが予想され、総選挙が盛り上がる事態になれば、公明党は完全に息の根を止められる。
 そこにもってきて自民党には、公明党との「選挙協力見直し論」が台頭してきた。従来、自民党は小選挙区で公明党の支援を受けるお返しに「比例区は公明党に」とリップサービスしてきたが、党選対委員長の古賀誠が「小選挙区も比例区も自民。自民は自民の政策と選挙で戦わなければ弱体化する。180ある比例区をみすみす公明党に渡していいのか」と言い始めた。
 いくら忠実な自民党支持者でも「比例区は公明党に」と言われ、「ハイ、そうします」と従ってきた者はこれまでも少なかったにちがいない。古賀発言は現状の追認といった一面を持つが、それにしても公明党の性格は自民党のそれとは違うと、自民党から三行半を突きつけられたに等しい。自民党支持層は現状追随の考えを持つ者が多いと見られるが、彼らの中に公明党への投票に違和感を持たない層が含まれていた。彼らは「やはり公明党は自民党と違う」と今後、比例区でも公明党に票を入れまい。
 公明党はわずかな浮動票を自民党支持層、周辺層から得ていたが、それさえも今後先細りになる。しかも公明党に対する評価の変化で、学会員以外から集めるF票もますます獲得が難しくなるだろう。つまり公明党は小選挙区ばかりか、比例区でも長期低落を宣言されたといえる。
 もちろん古賀発言は公明党への牽制もあろうが、正論にちがいない。創価学会・公明党は、手を握った相手をオシャカにする特徴を持つ。ようやく自民党も学会票や公明党という「薬物害」に気づき、学会票の高値取引は崩れ始めた。

明確化した消費期限切れ

 ここで浮上してきたのが公明党排除の上、自民党と民主党が手を結んで、麻生は退陣、与謝野馨が首相に納まる「救国大連立構想」である。かくて公明党はご用ずみとして捨てられ、池田のための「防波堤」という公明党の役割は水面下に沈んで、役立たずの組織に変わるはずである。
 政界は一寸先が闇である。現実がどう展開するか分かったものではないが、それにしても創価学会・公明党の低落ははっきりしている。しかも「大連立」が成立する過程で、元公明党委員長・矢野絢也と池田大作の国会喚問が実現し、池田は「泣きっ面に蜂」になる危険がある。
 来年2010年11月、創価学会は創設80年を迎える。このとき池田は82歳だが、すでに昨年ごろから老耄の色が濃くなっている。滑舌はますます悪く、態度・表情は高齢化に伴う初期認知症を疑わせて十分である。本部幹部会では本来池田が目を通してスピーチの参考にすべき草稿を幹部に代読させ、池田自身はかたわらに座ってエラソーに代読者にイチャモンをつけ、次々代読者を交替させている。
 スピーチの朗読もできず、不規則なイチャモン発言で自分の権力を幹部と出席の聴衆会員に見せつける辺り、見るも哀れな老残の姿である。だが、考えてみれば創価学会も公明党も、池田がらみの全部が全部、制度疲労を起こしたとも言える。前記したように公明党は自民党からもポイされる体たらく、国民からポイされるのは当然である。学会員の足腰も熱意も弱り、都議選に動員されれば、その疲れを癒すのに数カ月はかかるほどだ。
 公明党は自民党と組んで学会員という生活者を騙しに騙してきた。3年後の消費税増税を隠し、年金改悪を改善と強弁し、国民生活を破綻させてきたのが公明党である。学会員が公明党のため営々と票集めしてきたのがむしろ奇怪であり、F票取りへの熱意喪失は逆に正常化というべきだろう。
 池田大作は戦後日本に創価学会・公明党というグロテスクな組織をつくりあげてきた。女王蜂が働き蜂や兵隊蜂をなんの見返りもなく使役し、奉仕させるのと同様の組織をでっち上げたのだ。個々人が思考力を持つ人間にはあるまじき組織だったが、蜂並みの組織だけに、その組織は池田のためだけに消費され、金属疲労を起こして、今や亀裂や断裂が走り始めた。この分では来年、池田が長男の池田博正に創価学会インタナショナル会長の座を譲るというもくろみも怪しくなった。譲るのは簡単だが、果たして譲るに値する組織力が残っているのか、大いに疑問である。
 旧冬12月、元創価学会顧問弁護士だった山崎正友氏が急性腎不全で亡くなった。元教学部長だった原島嵩氏も去年7月に亡くなっている。
 創価学会のことである。早くも二人の死について口汚く悪罵を放っているが、二人は創価学会・公明党の落ち行く先を見切って死んだと断言して差し支えなかろう。一度は創価学会にからめ捕られて思考力を池田に預けた二人だったが、池田の悪に気づいて脱会、その後の余生は池田の悪を糾弾し、世論を覚醒することに捧げた。最晩年の昨年辺り、池田も創価学会・公明党も国民にとって「消費期限」が過ぎたことが明確化してきた。これで安心、と二人は安堵の溜め息をついて死出の旅についたはずである。合掌。(文中・一部敬称略)
 
溝口 敦(みぞぐち・あつし)1942年生まれ。早稲田大学政経学部卒。出版社勤務を経てフリージャーナリスト。宗教関係をはじめ幅広く社会問題を扱う。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞を受賞。『堕ちた庶民の神』『池田大作創価王国の野望』『オウム事件をどう読むか』『宗教の火遊び』『チャイナマフィア』『あぶない食品群』『細木数子 魔女の履歴書』など著書多数。

投稿者 Forum21 : 2009年01月07日 20:43

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.forum21.jp/f21/mt-tb.cgi/177

inserted by FC2 system