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2008年02月06日

2008-2-15 創価学会の政治進出―そのタテマエと本音を問う

税金泥棒を繰り返す「公明党議員」の実績

尾崎 洋/フリーライター

トップも地方も税金泥棒を繰り返す

 消えた年金にガソリン税――。越年(臨時)国会が通常国会になっても、政治とカネの問題は尽きないが、そんな中、〈与党・公明党〉の実績が改めて問われている。公明党は1円からの支出明細と領収書公開を義務付ける「改正政治資金規正法」を、先の臨時国会で成立させたとアピールしている。しかし肝心の自分たちは“税金泥棒”を繰り返しているのだ。
 まずは太田昭宏代表の「ガソリン代不正請求問題」。
 「給油新法の成立直後に朝日新聞がスクープ、他紙も続きました。それで太田さんは事実関係を認め国民に陳謝したんですが、かえって墓穴を掘っています」(社会部記者)
 一連の報道では、太田代表は2005年9月の衆院選挙時、本人乗車分のみが公費で賄える選挙カーのガソリン代を伴走車も含めて過剰請求、すでに昨年11月東京都選挙管理委員会に約9万円を全額返還したとある。しかし本人は金額については触れていないものの、「平成15年、17年分の請求額」(ホームページ・1月14日付)を返還したとコメント。つまり選挙のたびに不正請求を繰り返していたことを認めたわけだが、開き直りともとれるこうした姿勢も、政治家・太田昭宏の・実績”の一つなのだろうか。
 また地方議会でも昨年末、東京都清瀬市の公明党市議団が同市監査委員の勧告を受け、06年度政務調査費の約1割にあたる5万6942円を返還するという出来事があった。政務調査費は議員一人一人に支給される税金からの経費で、06年に起きた「公明党目黒区議団総辞職事件」のように、公私混同されるケースも多い。今回の清瀬市の件も、市民団体の監査請求によって明るみになったものだ。
 「清瀬市民オンブズマン」の布施哲也代表(清瀬市議)が説明する。
 「私たちは公明党だけでなく全会派に対して、政務調査費の支出に関する住民監査請求を行っています。06年度分は公明党の一部の金額にのみ勧告がなされ、それは返還されましたが、これだけでは到底納得できませんので、1月10日清瀬市長を相手に返還住民訴訟を東京地裁に起こしました。また以前清瀬市監査委員に却下された03、04、05年度に対しても昨年夏、提訴しています」
 清瀬市議の政務調査費は一人あたり月額1万円で、現在の公明党議員は4名(定数22)。オンブズマン側が返還対象にしている03年度からの4年間は5名(定数24)だった。その返還対象金額は、03年度20万6933円、04年度24万4010円、05年度20万4480円、06年度17万1042円となっている(06年度は返還金を含む)。
 結局公明党に与えられた年間60万円(当時)の政務調査費のうち、毎年3分の1は“公私混同”の疑いがもたれていることになる。ちなみに他会派への4年間の平均請求金額をみてみると、清瀬自民クラブ(8名)は4万3746円、日本共産党は4万9390円(6名)なので、公明党の突出ぶりがおわかりだろう。

 日帰り可能な視察で宿泊して観光

 それでは政務調査費を彼らはどのように使い果たしていたのか。まず清瀬市監査委員の勧告で、不正支出が明らかになった06年度分をみてみたい。
 公明党市議団は06年10月、山形県で行政視察(1泊2日)を行っているが、そのうち宿泊費4万950円、2日目の交通費1万3000円、及び土産代1417円は不正支出と認定された。土産代では7月に南九州への視察(2泊3日)の際に宮崎空港売店で購入した1575円のお菓子代も追加されており、合計5万6942円の返還を勧告されている。
 「視察先への土産代を政務調査費で認めるということにも問題があるのですが、2件とも帰り際に買ったもので、個人的に食べたと言わざるを得ません。山形視察は日帰りが可能だったものをわざわざ宿泊し、翌日は定期観光バスの半日コースに乗って、蔵王や山寺巡りをしています」(前出・布施代表)
 はじめから〈山形紅葉ツアー〉が目的のとんでも視察といえるが、それでも公明党市議団は2日目の行動を、「午前中を自由視察時間とし、自己負担により定期観光バス(一人当たり2900円)を利用して市内視察を行」ったと、監査委員に弁明したそうだ。
 公明党市議団は昨年12月の勧告後に政務調査費を返還しているが、今回勧告が出されたのは公明党のみだった。

 続いては訴訟となっているケースをいくつか取り上げてみよう。東京・目黒区では、沖縄のタクシー領収書になぜか東京都内の地名が記されたものがあったが、清瀬市でも金額改ざんの疑惑がある。03年7月、市議団は東北新幹線・新花巻駅から2台のタクシーに分乗、花巻市役所(岩手県)などを視察している。そこで提出された領収書は1枚がレシートで1860円、もう1枚は手書きのもので1万1860円とある。
 花巻での滞在時間を考えれば、1万円のタクシー代は考えにくく、手書きで「1」の数字を書き加えた可能性が高いという。他にもこの北東北視察では駅の売店で買った500円(100×5個)のアイスクリーム代や、視察後JR大宮駅前の中華料理店で開かれた打ち上げらしき飲食代も申告されているそうだ。

 さらに04年2月には清瀬市が長野県内に設けている保養所を1泊2日で視察。本来市民のためのレクレーション施設を市議の立場で、しかもシーズン中にいそいそ出かけること自体あきれてしまうが、ここでも彼らの行動には驚かされる。JRなどを利用したという交通費の領収書は一切なく、往路の昼食代は7食分、しかも保養所の食事代には子ども用のキャンセル料が記されていた。
 「昼食をとったそば屋は駅から遠く、実際は議員の親族も一緒に車で出かけたんじゃないでしょうか」(布施代表)

 モラルも金銭感覚もマヒしている

 政務調査費は毎年4月に1年分が支給され、清算は1年後に行うのが慣例だという。また近距離の乗車券など使途目的が明確なものについては、領収書の代わりに「支払い証明書」の提出も認められている。
 「しかしあくまでそれは千円単位が常識ですが、公明党だけは平気で8万円とかのものを出しています。また議員が市議団に請求している理解しがたい領収書も目立ちますし、いつも全額を使い切っています」(布施代表)
 まさにモラルも金銭感覚もマヒしているとしか思えない政務調査費の濫用だが、中には公明党らしい使い道もあった。
 「文芸書単476×10個 博文堂書店本店 2004年3月18日(木)18:30」。
 これは同じ本を10冊買った領収書で、著者とタイトルは沢雄二著『いつだって、現場が第一』。沢雄二とは公明党の沢参院議員のことだが、沢氏はこの年の7月に参院選挙に東京選挙区から出馬し、初当選を果たしている。政党活動以外のなにものでもない本の購入は、公明党地方議員の本当の“実績”が垣間見えるもので興味深い。
 しかしこうした不良議員たちには、支持団体の創価学会もみてみぬふりはできないのだろう。連日聖教新聞で「公明党よ働け、戦え」などと檄を飛ばしている。
 政務調査費についても、公明党が党内で透明性を高める見直し案を決議した03年の幹部座談会ではこう語っている。
 「副理事長 当然だ。国民は大賛成だ。すぐに実行してもらいたい。
 会長 国民、市民の税金を、どう議員が使っているのか。きちんと報告するのは当たり前だ。国民には『知る権利』がある」(聖教新聞3月12日付)
 時期といい、まるで目黒や清瀬の件を不安視する親心が感じられるが、残念ながら議員と支持者の心は直結してなかったようだ。

尾崎洋(おざき・よう)フリーライター。1962年生まれ。東洋大学卒。週刊誌記者として社会問題、政治問題などを担当。独立してフリーに。

投稿者 Forum21 : 2008年02月06日 20:16

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