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2008年01月15日

2008-1-15 創価学会に迎合するマスコミ・識者の無知蒙昧

『外から見た創価学会・』に登場する識者の不見識

段 勲 ジャーナリスト

身内がつくったプロパガンダ本

 正月三が日、時間のゆとりがたっぷりとあったことから、知人から拝借した『外から見た創価学会?供戞並荵以弧席埆孤堯κ圈畭荵以弧声甸?)を手にしてみた。
 確か、この種のタイトルに似た本は、以前にも、他の出版社から刊行されていた記憶がある。中身は、執筆の第三者が「外から見た」と謳っているように、適当に批判文も掲載されていて、それなりにバランスのとれた編集内容になっていた。
 実際、第三者が一つの組織を「外から見た」場合、賛否の意見が出るのは当然であって、同一の意見でまとまることはほとんどありえない。もし、あったとしたら、版元が巧みに仕組んだ宣伝本である。
 さて、「?機廚紡海?今回の『外から見た創価学会?供戮糧埜気蓮∩浪然慍餬藁鵑僚佝納辧崑荵以弧声辧廚任△襦?いわば、身内が編集、刊行した本で、タイトルに「外から見た創価学会」と第三者的立場を装ってはいるが、一口にいって同会のプロパガンダの範囲を超えていない。

 事実、本の中に挿入されているカラーを含む各写真は、過去の「グラフSGI」で拝見したようなものばかり。もし文字数が少なかったら、同本は「グラフSGI」の小型版かと見間違えるほどである。
 もっとも、見方は十人十色。第三者が、「創価学会」という団体をどのように見ていようと、あるいは感想を抱いていようが全くの自由。あわせて、発言や執筆の過程に横やりを入れるものでもない。
 毎月2回発行されている本誌「FORUM21」のように、創価学会には手厳しい「外から見た創価学会」もあるからだ。
 ただ、「外から」とタイトルを明示し、一般の書店で販売する場合、言論を糧にする出版社として、読者をまどわすようなことがあってはならない。
 ほか、いくつか問題がある。一般世間に広く名が知られている著名な学者や有識者たちに発言を求めるとき、版元はバランスのとれた人選を行っているかである。こうしたオピニオンリーダーが外に向かって発言するとき、受け手の読者に与える影響は小さくないからだ。

 一例では、一般市民が「北朝鮮はいい国だ」という発言をした場合と、全く同じ発言を一国の総理が行った場合とでは、その重さや影響力には、計り知れない格差がある。要するに、自らの肩書きを公にして発言するとき、与える影響力を考慮する責任を負わなければならない。
 2点目は、このような本に登場する有識者たちの自覚である。例えば、「外から見た創価学会」に対し、「あんな宗教団体は社会の敵、消えてしまえ!」と強い批判姿勢を崩さない国民が存在する一方で、「いや、いいとこもあるよ。幸せになっている会員もいることだし」と、肯定する第三者的立場の国民もいる。
 否定か肯定か。正確な確率などむろん分からないが、目安になるデータはある。時々、報じられる各新聞社実施の政党支持率だ。
 公明党=創価学会は、ここ30年ほど変わることなく支持率は3〜4%前後である。池田大作名誉会長が、「世界中から認められ」山のような勲章を貰い続けていても、国内では、公明党=創価学会の支持率が少しも上がることがない。つまりは、創価学会は会員を除き、国民から正当な支持を受けていない、極論すれば、学会の組織活動を肯定する国民は、いつも3〜4%前後のごく少数派ということになる。
 『外から見た創価学会?供戮砲蓮?大学教授など有識者や著名人が17人登場している。1人の例外もなく、同会をべたほめしているが、有識者がべたほめするほどの組織なのに、なぜ国民の支持率が伸びないのか。せっかく「外から見た」発言なら、このあたりを分析する有識者が1人ぐらいいてもよかったのに……。

不見識極まる識者たち

 もうひとつ、発言している17人の肩書きは大学教授、学長、評論家、元新聞記者等である。いずれも創価学会とは20年、30年という長いお付き合いにあることを誇りにしながら、「戦後の庶民に光を当てた創価学会」(北沢洋子・前日本平和学会会長・国際問題評論家)、「池田名誉会長は世界中の民衆の『先生』」(堀幹夫・岐阜女子大学学長)、「池田名誉会長の地球市民としての行動に期待」(中島誠・文芸評論家)、「震災時の聖教新聞社に感謝」(稲垣嗣夫・神戸新聞社代表取締役社長)「創価学会の磨かれた人権意識」(河野義行・松本サリン事件被害者)、「光はあった!池田提言の画期的偉業」(吉田実・アジア問題研究家・元朝日新聞社)……と、インタビュー形式で「外から見た創価学会」を述べている。
 個別のタイトルを見ただけで、もはや中身の説明が必要ないほどだ。ただ、素朴な疑問として、池田氏と学会の組織活動をこれほど宣揚し、心底信じているなら、なぜ、入会して同じ活動に参加しないのだろうか。

 それに、たとえ入会しなくても、創価学会は宗教法人の認証を得ている宗教団体である。同会の一連の諸活動は、同会が信仰する日蓮の教義に裏打ちされたもの。ところが、山折哲雄氏(宗教学者)が「宗教間共存への役割に期待」で、わずかに宗門・日蓮正宗との決別と“友人葬”に触れている程度で、ほかの有識者は、この信仰組織の根幹に全く言及していない。
 創価学会は宗教団体である。公明党支援の選挙闘争も宗教的理念に基づいている。まして組合やNPO法人ではない。宗教団体の「創価学会」を外から見るには、その屋台骨である肝心な教義にも言及しなかったら宗教団体を外から見たことにはならないはずである。

 もう少し個別に見てみよう。
 国際問題評論家の北沢洋子氏は、「戦後の庶民に光を当てた創価学会」のタイトルで、以下のように述べている。
 創価学会との付き合いが始まったのは、今から35年前とし、
 「そのころ、神奈川県在の創価学会の方から頼まれて、1970年11月3日(文化の日)の講演会で、日本とアフリカやアジアといった第三世界との関係について話しました」
 と、語っている。
 北沢氏は「ジャーナリスト」という肩書きも持つ。学会との出会いが1970年(昭和45年)の講演会が始まりというなら、この年、同会が起こして社会から総批判を浴びていた「言論・出版妨害事件」を熟知していたはずである。
 アフリカやアジアも大切だが、ジャーナリストとして、戦後最大といわれた組織ぐるみの「言論・出版妨害事件」に、何の感慨も抱かなかったのか。
 「震災時の聖教新聞に感謝」というタイトルで述べているのは、神戸新聞社代表取締役の稲垣嗣夫氏である。
 同氏は2004年、池田名誉会長から「創価大学最高栄誉賞」を受けたり、同社は20年近くも前から「聖教新聞」の印刷受託を行っている。
 同会とは利害関係にあるため、発言も割り引く必要があるが、
 「これから神戸新聞社としては、新聞のジャーナリズム機能だけではなく、並行して社会貢献の文化事業とか……」
 と、語っているが、特定宗教団体のプロパガンダ役を務める前に、新聞のジャーナリズム精神を失わないでほしいものである。

 亜細亜大学名誉教授の神澤有三氏は、「200を超えた名誉学術称号に敬意」と題し、
 「池田名誉会長が、……教育や文化を通じて人間主義を貫く創価学会の教理を世界に知らしめ、人類の幸せと世界の平和を創り出していこうとされる慧眼に深く敬意を表します」
 と、語っていた。
 神澤氏は大学の名誉教授。博識家にして分析にも長けているはずだ。池田氏がなぜ日本の大学や文化団体から、たった一つの称号も授与されていないのか、国民の最大関心事はこれである。「外から見た」学者として、この真相についても触れてほしかった。


段 勲(だん・いさお)フリージャーナリスト。1947年生まれ。週刊誌記者を経て、創価学会・公明党など宗教問題をはじめ社会・世相、医学・健康等をレポート。『私はこうしてがんを克服した』(日本能率協会)『鍵師の仕事』(小学館)『宗教か詐欺か』『創価学会インタナショナルの実像』(共にリム出版)『定ときみ江 「差別の病」を生きる』(九天社)など著書多数。

投稿者 Forum21 : 2008年01月15日 20:00

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