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2004-5-15

特集/創価学会の政党攻撃―
その呆れるばかりの御都合主義

「公明党・創価学会=池田大作」の異常かつ執拗な
民主党攻撃の背景

ジャーナリスト 古川利明

 年明け以降、「公明党・創価学会=池田大作」の民主党に対する攻撃が激しくなってきている。
 そのきっかけは、この1月に開かれた民主党の党大会で、代表の菅直人がはっきりと「日本の政治が公明党を通じて(支持母体の)創価学会という一宗教団体に支配されてはならない」と批判したことである。
 こうした流れを受ける形で、2月下旬には、菅直人の指示で、極秘に「公明党・創価学会=池田大作」に対するプロジェクトチームを結成し、「公明党・創価学会=池田大作」の政教一致の問題をはじめとして、“外遊”の際の池田大作に対する外務省の便宜供与の実態や、学会施設を使った選挙活動の違法性を追及する姿勢を見せている(3月12日付け産経新聞記事より)。
 こうした動きに、例によってというべきか、いわば当然のごとく、信濃町は過敏ともいえる反応をさっそく見せている。

 民主党攻撃は池田の指示?

 とりわけ、菅代表の指示で特別プロジェクトチームの発足が、産経新聞の“スクープ”によって明るみになってからは、池田大作はどうもこの動きを非常に警戒しているらしく、例えば、さっそく、公明新聞が3月18日付け紙面から「公明攻撃に狂奔する菅・民主党の迷走」と題する3回の連載を始めさせる一方、聖教新聞の方でも、4月21日付けの例の中傷座談会では、学会幹部に次のように言わせている。

 弓谷 産経新聞(3月12日付)に報道されていたが、なんでも、民主党が公明党・学会対策と称して『特命プロジェクトチーム』なるものを作ったというな。
 杉山 この特命チームとやらは、党首の肝入りで、全部で10人のチームだ。調べてみたら、このうちの7人が前回の衆院選の小選挙区で公明党候補に敗北。比例で復活当選した議員だよ。
 原田 なんだなんだ、選挙で公明党に負けた。その醜い『逆恨みか』!〉

 さらに続く同月23日付けの座談会では、かつて菅直人の公設秘書で、秘書給与流用疑惑で実刑判決を受けた民主党の山本譲司元衆院議員が、服役を終えて書いた手記を引用しながら、次のようなコメントが並んでいる。

 原田 ということは、菅代表にも公設秘書給与のネコババ疑惑があるということか。(略)
 弓谷 その記事で菅氏は「給与の一部を寄付として受け取っていたようだが、調査中」とのコメントを出していた。ところが、この告発から1年経った今でも「調査」の結果は明かされていない。
 青木 真実はどうなんだ? これこそ国民の重大な関心事だ。党内に「プロジェクトチーム」でも立ち上げて、厳しく調べたらどうなんだ?(爆笑)〉

 こうした聖教新聞などによる信濃町の民主党攻撃をみていくと、次のようなことがわかる。
 まず、秘書給与流用や傷害などの事件で、民主党の国会、地方議員やその秘書が警察に逮捕され、新聞沙汰になったケースをことさらとりあげ、「いかに民主党の人間は、酒、カネ、オンナ、品性、人格にだらしないか」ということを徹底的にあげつらったあとで(もっともこれは、スキャンダルによる中傷攻撃の常套手段ではあるが)、そのターゲットを今回、特命プロジェクトチームを立ち上げさせた代表の菅直人に向けていることがわかる。
 ちなみに、学会中枢に近い筋によれば、聖教新聞のこの座談会は必ず池田大作がチェックし、時には自らペンを取って赤入れをすることもあり、いわば、「池田大作の意向」を忠実に表現したものであるという。
 であれば、年明け以降、信濃町が民主党に対して、お世辞にも品性があるとは到底、言えない中傷攻撃に力を入れているのは、こうした民主党の問題追及の矛先が「公明党」と「創価学会」という2段階の“クッション”を経て、池田大作自身に直接、向かってくることへの防御反応であることが、はっきりと見て取れる。
 もっとも、「公明党・創価学会=池田大作」の「政党攻撃」は、今に始まったものではない。
 94年6月に自社さによる村山内閣が発足し、当時の自民党で、亀井静香、与謝野馨、白川勝彦らが中心となって、宗教法人法改正論議の中で、「池田大作の国会証人喚問」を切り札に、創価学会・公明党批判を強めていたころは、信濃町は、まったく同じような論調で自民党や、自民党とも親睦関係にあった四月会を、機関紙や中傷ビラなどを駆使して口汚く罵っていた。
 そこで、今回は民主党の方から、こうした「公明党・創価学会=池田大作批判」のムードが高まってきた途端、その攻撃のターゲットを民主党に向けただけともいえる。

 平野論文に対しては沈黙

 ところが、興味深いことに、こうした菅直人直轄のプロジェクトチームの発足とほぼ軌を一にして、今夏の参院選を機に引退する、小沢一郎の懐刀である民主党の平野貞夫参院議員が、『月刊現代』5月号(4月5日発売)から、「爆弾手記」と名付けて、「公明党『汚れた裏面史』全真相」というタイトルで掲載している。
 彼は衆院事務局時代から、裏で「公明党・創価学会=池田大作」と政治折衝を行ってきた、いわば“歴史の生き証人”であるわけで、その詳細なメモをもとにした具体的な記述は、非常にリアリティーがあり、読んでいて驚きの連続である。
 で、それはともかく、池田大作を糾弾した大橋敏雄問題の収拾工作の内幕など、池田にとってはあまり表に出してほしくないネタを、このように白昼堂々と公表しているにもかかわらず、あれだけ口汚く罵っている菅直人の場合とは違い、なぜか、この平野貞夫(それと小沢一郎)に対しては、信濃町は黙殺したままなのである。
 推測するに、おそらく、平野はもっとディープなネタを持っているため、ここで下手に攻撃し、「ヤブヘビになっても困る」という池田大作の判断なのかもしれないが、このあたりに、かつての田中角栄の下で権力闘争のイロハをたたき込まれた小沢一郎の“深謀遠慮”が見て取れる。
 これは私の推測の域を出ないが、代表の菅直人の方は、良質な保守層や無党派層の取り込みのために、かなり本気で「反公明・学会批判」にシフトするハラを固めたのだと思う(それゆえに、聖教新聞などであれだけの攻撃が菅直人に集中しているのである)。
 それに比べると、「自自公」の“立役者”である野中広務が、いみじくも「叩きに叩いたら、向こうからすり寄って来たんや」と漏らしているように、まだ、小沢一郎の方はジャブを出している段階で、「もし、仮に今後、信濃町と本気で組むにしても、もっと叩かないとだ」ということぐらいはわかっているのだと思う。

 それゆえ、私が民主党サイドに求めたいのは、まずは、こうした「公明党・創価学会=池田大作」の低次元の中傷攻撃に怯まないことである。
 それを踏まえたうえで、菅代表は自らの指揮下にある特命プロジェクトチームのラインとは別に、こうした「学会対策」において小沢一郎と連携を取ることである。やはり、彼は新進党時代の経験も含めて、信濃町(=池田大作)のウラを熟知しているし、なによりも、「自公をひきずり下ろして、政権交代を目指す」という「民由合流」の出発点は、まさにそこにあったはずだ。
 繰り返して言うが、「公明党・創価学会=池田大作批判」は、何度でも打ち込む必要のあるボディーブローである。これを踏まえたうえで、「真の政権交代」とは、いま、まさにこの国の「オモテ・ウラの総理大臣」(=小泉純一郎、池田大作)を権力の座から引きずり下ろすこと以外にないと、敢えて付け加えておく。(文中・一部敬称略)

古川利明(ふるかわ・としあき)1965年生まれ。毎日新聞、東京新聞(中日新聞東京本社)記者を経て、フリージャーナリスト。著書に『システムとしての創価学会=公明党』『シンジケートとしての創価学会=公明党』『カルトとしての創価学会=池田大作』『デジタル・ヘル サイバー化監視社会の闇』(いずれも第三書館刊)など。

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