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2003年9月15日号
特集/“煙の如き”創価の言論

雲散霧消した“反自民・反権力”
―「二枚舌・変節・カメレオン」発言

ジャーナリスト
乙骨正生

 9月20日投票の自民党総裁選挙の結果いかんでは、10月末解散、11月9日投票という衆院総選挙の政治日程が変更になる可能性はあるものの、来年6月の任期切れまでには解散総選挙は行われる。

支援と恫喝をちらつかせる学会首脳

 こうした政治状況を受けて、昨今、創価学会がしきりに「人物本位」とのアドバルーンを上げている。例えば8月18日付「聖教新聞」掲載の秋谷栄之助会長らによる首脳座談会「21世紀の展望を語る」には次のようにある。
 「秋谷(会長)ともかく今、次の総選挙の時期が、いろいろと取りざたされている。秋という見方が有力だが、ともかく日本を良くしてもらいたい。学会の態度は政党支持では、公明党を支持するが、その他は、あくまで『人物本位』だ。関西でも、中部でも、全国各地みな同じだ。
 西口(総関西長) その通りだ。関西でも公明であれ、自民であれ、こんど合併する民主と自由であれ、いい人物――とくに人権を守る政治家は、きちんと評価する。この方針に一切、変わりはない」
 こうして「人物本位」での支援をちらつかせる一方で、創価学会は「『宗教弾圧の政治家』は支持しない」「信教の自由の侵害は断じて許さぬ」(「聖教新聞」8・22付)として、過去に創価学会批判を展開した政治家の名前を挙げ、「宗教弾圧」の政治家はいずれも没落しているとして嘲笑。激しい非難を加えている。その一例を紹介しよう。
 「野崎(副会長)だいたい宗教弾圧の卑劣な政治家が、どのような末路をたどっているか。ご存じの通りだ。
 谷川(副会長) 元代議士の白川勝彦!秘書の『交通違反もみ消し事件』が発覚して衆院選、参院選と連続して落選。今も莫大な借金を抱えて、訴えられているという話だ。
 青木(理事長) 昔の民社党の委員長だった塚本三郎だって、そうだ。立て続けに2回も選挙で落ちて、最後は惨めに政界引退。今では、まったく姿も見ない。
 佐藤(総合青年部長) 社民党の辻元清美。これも学会のことを丸っきり知らないくせに、さんざん悪口を言っていた。
 それが秘書給与の横取りが発覚して逮捕、起訴。『エセ市民派』の化けの皮が剥がれて、政治生命は完全に終わりだ。
 谷川 それに、あの陰険、陰湿な『宗教弾圧の共産党』。最近では、すっかり落ち目、退潮、凋落。地方選挙でも票を減らして落選だらけだ(笑い)。 
 佐藤 おまけに党のナンバー4とも言われた元代議士の筆坂秀代がセクハラで議員辞職した。
 秋谷(会長) 宗教弾圧の政治家が、どんな末路をたどるか。これが厳然たる事実であり、現実じゃないか。反民主主義、憲法違反の卑劣な輩が有権者から見放され、没落していくのは当然至極の話だ」
 二つの記事の意味するところは明白。要するに「人権を守る=創価学会を守る」議員は支持し、「宗教弾圧=創価学会批判」を行う政治家とは徹底して戦い、これを撲滅するということである。
 それだけに創価学会は、票欲しさに膝下に屈した政治家に対する牽制を忘れない。「宗教弾圧」の政治家は支持しないとするこの8月22日付「聖教新聞」掲載の座談会でも、「政治家は自分の言動に責任を持て 二枚舌 変節 無節操を恥よ」との見出しを掲げ、次のようにプレッシャーをかけている。
 「青木 それに学会は、どこまでも『人物本位』で、選挙での支持を決定してきた。
 野崎 その通りだ。これまでも学会員は、その方針で支援をしてきた。
 佐藤 与党だけじゃない。今の野党の中にだって、学会員に応援してももらった議員が、いっぱいいるぞ。いちいち言わないが。
 谷川 ある野党の議員は、かつて『思い切って推薦していただいた公明党、支持団体の創価学会の厚い理解に感謝しています』なんて、支持者の前で明言していた。
 青木 そういう議員が、手の平でも返したように、宗教弾圧をはじめたら、自分が笑われるだけだな(大笑い)。―中略―
 野崎 まったくその通りだ。結局、政治家は、その時その時で言うことが変わる。自分の言動に責任が持てない。二枚舌。変節。カメレオンみたいに態度が変わる――そういう連中は、政治家以前の問題だ」
 たしかに政治家の中には、「自分の行動に責任が持てない」「カメレオンみたいに態度が変わる」無節操な輩も少なくない。その最たる者は「自民党をぶっ壊す」と公言しておきながら、自民党の総裁に再選されることに腐心。「一内閣一閣僚」をはじめ「国債30兆円枠」など公約がいずれも実現できなかったにもかかわらず、そのデタラメぶりを批判されると「公約破りなど大したことない」と開き直っている自・公連立政権の小泉首相といえよう。
 だが、ちょっと待って欲しい。創価学会の過去の政治に関する言動を検証するとき、そこには「自分の言動に責任が持てない。二枚舌。変節。カメレオンみたいに態度が変わる」創価学会の実態が浮かび上がってくる。その意味では、この野崎発言はまさに天に唾するものとしかいいようがない。
 例えば、池田会長(当時)は、昭和36年に創価学会の政界進出について次のように発言している。
 「我らは政党ではない。すなわち創価学会は政党ではない。したがって衆議院にコマを進めるものではない」(S36・6付「大白蓮華」)
 ところが、この発言からわずか3年後に創価学会は公明党を結党。衆議院に進出した。またこれに先立つ昭和35年には、政権への参画を否定するこんな発言も行っている。
 「わが創価学会は、他宗派のごとく、企業でもなく、ただ、勢力の拡大を目的とするものでもない。また、けして決して政権を考えるものではない」(S35・12付「大白蓮華」)
 だが、現在、創価学会政治部をその前身とし、池田氏を創立者と仰ぐ公明党は、自・公連立政権の一角を占めている。また、平成5年に公明党が細川護煕氏を首班とする非自民連立政権に参画した際、池田氏は「デェジン・デェジン」と大喜び。組閣前日であるにもかかわらず、公明党の大臣ポストに言及したことは各種マスコミ既報の通り。「けして決して政権を考えるものではない」どころの話ではない。
 

“皆さん、許せるでしょうか”

 もっとも、こうした古い話に限らず、ここ数年の政治がらみの創価学会の言動を検証しただけでも、まるで「カメレオンみたいに態度が変わる」「二枚舌」「変節」としか言いようのない創価学会の実像が浮かび上がってくる。
 現在、創価学会は、自・公連立体制を創価学会なかんずく池田大作氏が日本を動かす「日本の柱」体制と位置づけ、歓迎する姿勢を見せており、8月21日付「聖教新聞」掲載の首脳座談会にもそうした意思は明確に示されている。「公明党よ?試?力を尽くせ――全国の激戦に勝利を」「望ましいのは3党連立政権」との見出しの同座談会にはこうある。
 「谷川 公明党が連立与党に入って、もう4年だ。今こそ勝負の時だ。最大のチャンスだ。
 佐藤 新聞各紙の世論調査を見ても、状況は大きく変わっている。この8月に発表された共同通信社の『連立10年』に関する全国の世論調査によると、『望ましい政権の枠組み』は何か。『自民』、そして『公明』、『保守新党』の現在の3党連立を望ましいとする割合が、一番、多いんだ(23・3%)。
 谷川 そうだ。自民党支持者層においても、また無党派層においても、公明党が参加した連立政権を望ましいとする人の割合が、トップになっている。
 原田(副理事長) それだけ皆に真実が分かってきたんだ。まさに、今が『攻め時』だ。『好機到来』だ。公明党の全議員が堂々と、党の実績、政策を語り抜いてもらいたい」
 ここに言う「勝負の時」「チャンス」「攻め時」「好機到来」の意味するところが、政界における創価学会・公明党勢力の影響力の拡大、ひいては創価学会の勢力拡大に置かれていることは自明のこと。すなわち創価学会は、自・公連立体制こそ自らが勢力拡大を果たすためにもっとも都合のいい政治体制だと表明しているわけである。しかし、振り返ってみれば、創価学会はつい最近まで反自民を掲げ、激しく自民党や自民党議員を攻撃していた。そうした「二枚舌。変節。カメレオンみたいに態度が変わる」創価学会の実態を示す各種幹部の発言を紹介しよう。まずは平成10年7月の参議院選挙を目前にした5月度本部幹部会での西口良三関西長(現副理事長)の話。
 「さあ、いよいよ決戦の7月を迎えます。先日、(池田)先生は、昭和31年の戦いを振り返り、『本年もまた、偉大なる常勝また常勝の歴史を飾っていただきたい』と呼びかけてくださいました。5月から6月、そして7月へ。決戦の最大のヤマ場を31年の再現で、本領発揮の舞台にしてまいろうではありませんか。(中略)

 7月といえば、権力の魔性との戦い、正義を証明した伝統の月です。かつて先生は7月3日にあたり、お歌を詠んでくださいました。『権力の 魔性見つめし この日かな 学会精神 いやまし炎と』。この学会精神こそ民衆を見下す勢力とは断じて戦うという攻撃精神に他なりません。平成8年総選挙で自民党は、数千万枚の中傷ビラをばらまき、徹底的に学会のイメージダウンをはかりました。皆さん、許せるでしょうか?氏B
 このように民衆を見下し、学会を弾圧しようとする権力の魔性は断じて攻め抜き、まずは今回の戦いで、民衆勝利の結果を示していく以外にない、こう思いますが、皆さん、いかがでしょうか」
 ここに言う昭和31年の戦いとは、「不可能を可能にした」と言われている昭和31年の参議院大阪選挙区での選挙闘争のこと。この選挙で創価学会は池田青年部参謀室長の指揮のもと、大量の選挙違反を出す熾烈な選挙を展開、泡沫候補扱いされていた白木義一郎大阪支部長を当選させた。そして「7月と言えば権力の魔性との戦い」とは、翌32年の参院大阪補選での選挙違反容疑で、池田氏が7月4日に大阪地検に逮捕されたことを指す(本誌平成14年7月1日号で特集)。西口氏は、二つの事例を引き合いに出し、自民党を打倒し、勝利しようと呼びかけているのである。
 ちなみにこの時期、自民党の橋本龍太郎首相と加藤紘一幹事長は、目前に迫った参議院選挙の選挙区での創価学会票欲しさに創価学会に擦り寄り、機関紙「自由新報」に池田大作レイプ事件についてのジャーナリスト内藤国夫氏の記事を掲載したことを二度にわたって謝罪。その事実を4月と6月の本部幹部会で秋谷会長が次のように報告していた。
 「橋本総理からも池田名誉会長にいろいろご迷惑をおかけし、申し訳なかったとお詫びがあり、加藤幹事長も、名誉会長に対してたいへん失礼なことをして、心からお詫びしますとのことでした」(4・20)

 「自民党総裁の橋本総理大臣からも、6月1日に本部に電話があり、『この前、私が「名誉会長にいろいろご迷惑をお掛けし、申し訳なく思っています」と述べたことについて、おっしゃっていただくことはかまいません。本当に済まないことをしたと思ったからです』と丁重なお詫びのあいさつがありました」(6・16)
 この池田レイプ事件に関しては、現在も創価学会は橋本首相の謝罪を最大限、利用しており、去る8月1日付「聖教新聞」掲載の座談会でも、次のように橋本氏が今年1月にも謝罪の意を表している旨、報じている。
 「山田(東北長) あの狂言事件では、自民党の機関紙にデマ記事を載せたことで、時の橋本総理大臣、加藤幹事長が池田先生と学会に2度も謝罪した。
 蓬田(東北婦人部長) 一国の総理が一個人に2度も謝罪するなんて、異例中の異例ですね。聞いたことがない。
 今村 それほど悪辣なウソ八百のデマだったということだ。全部、歴史に厳然と残った。
 山内(東北男子部長) 実は橋本元総理は、今年1月にも、岡山文化会館を訪問した。その折『あれは謝るのが当然です』と話していたそうだ」

打倒・橋本反人権内閣

 だが、橋本首相、加藤幹事長の期待も虚しく創価学会は自民党に票を回すどころか、この西口関西長の発言に明らかなように、橋本政権打倒を声高に叫んでいたのである。
 結局、自民党は大敗し橋本首相は辞任を余儀なくされ、橋本政権は崩壊した。すると創価学会は大喜び。投票日から4日後の7月16日に開かれた本部幹部会は、まさに自民党・橋本政権に対する勝利集会の趣を呈していた。その雰囲気をよく伝える高柳婦人部長、佐藤男子部長の話を紹介しよう。まずは高柳婦人部長。

 「全国の皆さん、私たちは創価のスクラムで、堂々と戦い、勝ちました。本当におめでとうございます。広布史に輝く最高峰の金字塔、そして、創価の正義を打ち立てることができ、本日、(池田)先生のもとに集うことができました。これ以上の喜びはございません。冬の日も、炎天下も、こんな悪政許すわけにはいかないと、怒りをもって歩き、今回ほどしゃべりまくったことはありません。先生が世界から顕彰される中、最後の最後まで頂いた魂を揺さぶるメッセージ、それに奮い立って戦い抜きました。勝って正義を証明したい、乱れた社会を大掃除するんだ。悪を一掃するのだ。仇討ちだ、との気概で、最後の一瞬まで走り抜きました。
 戸田先生のご指導に『創価学会をいじめたならば日本の繁栄はありえない。創価学会こそ日本の柱であり、眼目である』とありますが、仏法は勝負、仏法の因果の理法は歴然であります。今回の戦いで、創価学会の軍勢、味方を拡大できた分、仏敵を打倒し、追い詰めることができたと確信いたします」
 参議院選挙を「仇討ち」であり「仏敵打倒」の戦いだったと強調する高柳婦人部長。まるで集団ヒステリーのようなおもむきだが、その言に輪をかけてエキセントリックな発言を行なったのが佐藤浩男子部長。まずはこう口火を切る。
 「今回の支援の戦い、我々男子部は、先の参議院選挙以来、この三年間、学会に加えられてきた悪質なる宗教弾圧への仇を断じて討つ、この三年間の魂の借りを断じて返す、この決意で全国一丸となって戦ってまいりました」
 高柳婦人部長同様、参院選挙を「宗教弾圧」に対する「仇討ち」と位置づける佐藤氏は、橋本政権の敗北は失政に対する国民の怒りだと強調。その上で、次のように激しく橋本政権を罵ったのだった。

 「そして、その結果として、この三年間、狂気のような学会攻撃で、まじめな学会員をいじめ、信平問題という大冤罪をかぶせ、国会で追及しようとしたあの橋本反人権内閣は、国民のゴウゴウたる非難の中、ついに倒れたのであります(大拍手)。憲政史上、参議院選挙の大敗が引き金になって政権が倒れた例は、平成元年の宇野内閣の例を除き、極めてマレであり、全く哀れな末路という他ありません」
 「また、これまで自民党と結託して、学会を弾圧してきた社民党、さきがけも、事実上、壊滅的ともいうべき大敗北を喫しました。これで、学会弾圧のために野合した『四月会』政権の終わりであります」
 これに対して創価学会は大勝利し広宣流布が進捗。いまや創価学会は「日本の柱」になったとこう自画自賛している。
 「一方、彼らが倒そうとした学会はどうか。全国の大健闘により、比例区公明票775万票という、いまだかつてない過去最高の得票を勝ち取り、21世紀へ、その力を満天下に示すことができました。その意味で、我々は見事にこの三年間の仇を討つという誓いを果たすことができた。こう宣言したいと思いますが、いかがでしょうか。(大拍手)
 ある識者は今回の選挙についてこう語っておりました。『権力は自分たちに従わないからといって、卑劣な手段を使って学会を弾圧した。そこには明かな権力の驕りがあります。信平問題のような宗教弾圧も、そのおごりの表れに他なりません。その卑劣な権力が敗北したのは当然の結果といえるでしょう』と語っておりました。まさに正論であります。―中略―
 いまやわが創価学会の存在こそ日本の柱であり、希望であります。私たちはその誇りを胸に21世紀へ堂々と前進してまいりましょう」
 普通、ここまで「自民党」「橋本政権」を非難していれば、簡単に手を握ることなどできるものではない。それがわずか1年後には一転して手を握り、自・公連立政権に対する支持率が高いとのマスコミ報道を受けて、「チャンス」「好機到来」などとアピールしているのである。まさしく「二枚舌。変節。カメレオンみたいに態度が変わる」との形容は、創価学会にこそふさわしい。

 
「まっぴらごめん」の政治家と提携

 ところで「聖教新聞」掲載の座談会記事の中で秋谷会長らは、「宗教弾圧」すなわち創価学会を批判した政治家は没落するというが、現在も自民党の中には、白川氏以上に激しい創価学会批判を繰り返した亀井静香代議士や野中広務代議士、あるいは平沢勝栄代議士などがおり、片山虎之助参議院議員にいたっては自・公連立政権の総務庁長官のポストに就いている。しかし創価学会首脳はこうした現職の大臣や議員には言及しない。槍玉に挙げるのは落選、辞職した元議員だけである。その意味では著しく公平さを欠いているのだが、だからといって亀井氏や野中氏が安泰というわけではない。
 というのも参議院において自・公連立を推進し、自・公連立の功労者である村上正邦元自民党参院幹事長が、KSD問題で逮捕、起訴され、議員辞職するや、創価学会はたちまち村上氏の過去の創価学会批判を持ち出し、激しく罵詈罵倒しているからだ。それだけに亀井氏や野中氏が失脚すれば、村上氏と同じ扱いを受けるだろうことは想像に難くない。
 そこで最後に、自民党の総裁選挙に立候補した亀井氏への餞の意味を込めて、かつて創価学会が亀井氏をどのように評していたかを紹介して本稿を締めくくることにしたい。発言者は谷川男子部長。日時は平成8年9月の本部幹部会である。
 「こうした政治家による人権侵害の実態がいかに悪質であるか、例えば、おなじみの亀井静香前運輸大臣が、先日、広島の原爆慰霊碑をめぐって驚くべき発言を行なったことは記憶に新しいところであります。ご承知のように、広島平和記念公園の原爆死没者慰霊碑には、『安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから』との有名な碑文が刻まれております。
 ところが亀井氏、この碑について、なんと目障りな碑と発言、さらに、別に日本が原爆を落とした訳でもないのに、などと口汚く罵ったのであります。広島に投下された原爆では、30万とも40万ともいわれる貴い人命が犠牲となりました。過ちはくりかえしませんからとの言葉は、平和への厳粛な誓いであり、被爆地広島の方々だけではなく、平和を願う世界中の人々の心からの願いであります。その碑文を指して、国務大臣まで経験した、しかも広島の地元選出の政治家が、こともあろうに目障りだと吐き捨てる。かけがえのない肉親や知人を奪われた人びとの心、そして平和を願う世界の心を土足で踏みにじる、まさに日本の戦後史に残る言語道断の暴言であります。―中略―
 人の心の分からぬ政治家こそ目障りな政治家である。まさにその通りであります。亀井氏がこれまで学会攻撃の提灯担ぎをしてきたのも故なきことではない。もともとこんな反人権体質の政治家だからこそであります。学会への批判も人権無視の体質もその根は同じであります。平和を守る意志、人権を尊重する信念など毛筋もないからこそ学会という平和団体、民衆運動の真価がわからない、それこそ目障りでしかたがないのであります。
 こんな人権感覚の持ち主が政権与党の一角を占めるような政治はもうまっぴらごめんである。こうした歪んだ政治の流れにいまこそ終止符を打ち、新しい民衆本位の政治の流れを作っていくときである。これが私達のみならず、心ある日本の市民すべての願いである、こう思いますが、皆さんいかがでしょうか」
 そんな「まっぴらごめん」の人物である亀井氏やかつて創価学会を激しく批判した野中氏、あるいは学会嫌いと言われていた小泉首相と連立政権を組み、得々としているのが、他ならぬ創価学会・公明党なのである。創価の言論は無責任な“煙の如きもの”としか言いようがない。

乙骨正生(おっこつ・まさお)フリージャーナリスト。1955年生まれ。創価中学・創価大学法学部卒。宗教・政治・社会分野などを取材、週刊誌・月刊誌を中心に執筆。著書に『怪死』(教育資料出版会)『公明党=創価学会の野望』『公明党=創価学会の真実』(かもがわ出版)など。

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