特報 福岡・行橋市が「池田大作写真展」の後援を取り消し 本誌編集部


 福岡県行橋市は、一月十六日から二十日に同市武道館で開催された「池田大作写真展 自然との対話」の後援を、開催直前に取り消した。
 同写真展は昨年、南アフリカの「環境開発サミット」でもSGI(創価学会インタナショナル)が展示した。創価学会員外交官である榎泰邦駐南ア大使の案内でこれを見た小泉純一郎首相が、公明党大会席上で池田氏を絶賛した――そんな、いわくつきの写真展である。行橋市が、いったん与えた後援許可を取り消したのは、同写真展が宗教色の強いものであり、市の後援名儀使用許可基準に抵触すると判断したからだという。

 宗教色を隠して後援を申請

 後援取り消しは、共産党市議会議員団の「申し入れ」を受けて市が再調査した上での措置だという。「赤旗」一月十八日付に、「申し入れ」の全文が載っている。
 それによると、申し入れのポイントは二つある。
 第一は、主催者が企画の内容の一部を隠して申請していたこと。市への後援申請は昨年十二月四日だが、申請書に記入した企画名は「自然との対話写真展」、申請者は隣接する勝山町在住の個人名だった(実際に文書を届けたのは別人だともいわれる)。つまり、「池田大作」「創価学会」という、最も肝心なところを隠して申請していた。
 二つ目のポイントは、この企画が「行政の後援をとりつけ、それを利用した宣伝・布教活動以外のなにものでもありません」(申し入れ書)という指摘である。
 申し入れ書は、二〇〇〇年三月に埼玉県蕨市が後援した同写真展を前例として示している。このとき蕨市は学会の申請を受けて、「写真そのものの芸術性を見せる企画であり宗教活動はしないという約束」(当時の総務部次長)として後援を許可している。
 ところが、会場の受付近くには池田氏著とされる『新・人間革命』が積み上げられた。創価学会内部では、同書は「現代の御書」と位置づけられている。『御書』とは日蓮遺文集で、学会の教義書に当たる。『新・人間革命』は“芸術”ではない。創価学会の最高の教義解釈書であり宗教上の指導書である。

 「池田大作写真展」は
 会員獲得のための布教宣伝活動の一環

 学会自身、かねてから同写真展をこう位置づけている。
 「(写真展は)仏法理解の輪を広げる最大のチャンス……今後の新大阪広布進展へのカギとなります」(創価学会大阪総合本部婦人部長=同内部文書から)、「新大阪広布建設にとって、これほど素晴らしいチャンスはありません」(新大阪総合本部長=同)
 つまり、写真展は学会の重要な広布進展=布教活動と位置づけているのだ。当然、後援は公的機関の宗教的活動や宗教活動への援助を禁止した憲法の政教分離原則に触れる。
 創価学会は昨年三月の会則改定で池田大作名誉会長を「永遠の指導者」(第三条)と位置づけた。そしてこの間、同写真集や池田氏が各国の著名人と対談した対話集を、異常なまでの熱意で宣伝している。新聞にはそれぞれの全面広告を出し、対談のさわりを宣伝特集記事の形で載せたりしている。
 前出の、南アフリカでの展示場でも、池田氏の「箴言」を、ガンジーやタゴールらの言葉とともに紹介したという(本誌昨年十一月十五日号)。写真集や対話集の宣伝は、「永遠の指導者」たる池田氏礼賛の・神格化キャンペーンの一つでもあるのだ。
 これを後援したり宣伝したりする行為は当然、特定宗教団体に肩入れし、援助することにつながる。ところがこのところ、各地方自治体のこれらの企画を後援する風潮が目立っている。その背景には「政権」や地方議会での「キャスティングボート」という政治的圧力がある。そんな風潮のなかでおこなわれた行橋市の判断の意味は大きく、重い。

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